風車1基撤去、府が見送り 発電量不振の太鼓山発電所
京都府が伊根町の太鼓山に設置している風力発電所で、府は1日までに赤字縮小を目的にした風車1基の撤去方針を撤回し、当面、存続させることを決めた。固定価格買い取り制度の導入で売電収入が増加しているためで、現状の6基を維持する。
太鼓山風力発電所は、風量不足や落雷による故障の頻発で、発電量が当初見込み(850万キロワット時)を下回り、2011年度は約400万キロワット時と半分以下にとどまっている。
収支が悪化し、累積赤字は11年度末で3億6千万円に上る。今後の損失を最小限に抑えるため、府の専門家委員会は11年6月に「1基を廃止することが適当」とする意見をまとめ、府も撤去する方針だった。
しかし、福島第1原発事故などを受けて再生可能エネルギーが注目され、昨年9月から府の風力発電事業が固定価格買い取り制度の対象となった。売電価格も1キロワット時当たり11・97円から19・03円に1・6倍増となった。
府によると、現在2基が故障中で、昨年9月から今年1月末までの供給電力量は前年同期に比べ40%減ったが、売電収入は12%増えた。
府は発電所が2021年末まで固定価格の対象となるため、赤字幅を縮小できる可能性があると判断し、新年度当初予算案での撤去費用の計上は見送った。
ただ風車が老朽化しているほか、落雷も多く、故障の修繕費が売電収入を上回る恐れもある。府建設整備課は「売電収入は増えるが、稼働を続けることで修繕費が増える可能性もある。どちらが得なのか慎重に検討していきたい」としている。
【 2013年03月02日 10時09分 】