新しいタイプの津波避難ビル開発進む

3月7日 16時49分

東日本大震災では、津波に強いとされ避難先にもなった鉄筋コンクリートのビルが横倒しになる被害が相次いだことから、津波を受け止め耐えるだけでなく、受け流して倒壊を防ぐ新しいタイプの津波避難ビルの開発が進められています。

２年前の大津波では、宮城県女川町で津波に強いとされてきた鉄筋コンクリートのビルが合わせて５棟倒壊するなどしたため、各建設会社が津波で倒壊しにくいビルの研究に取り組んでいます。
こうしたなか、大手建設会社の一つが、頑丈なだけでなく、津波を受け流して倒壊を防ぐ新しいタイプの津波避難ビルの開発を進めていて、横浜市戸塚区の施設で３０分の１の模型を使った実験を繰り返しています。
外観は４階建ての四角い普通のビルですが、１階部分が柱ばかりでほとんど壁がないピロティ構造になっていて、この部分で津波を受け流し建物に加わる力を減らすことができるということです。
１階部分が水没する８メートルの高さに相当する津波を再現したところ、１階にも外壁があるビルは、津波が壁に当たったあと２０メートルの高さに相当する建物の３階から４階まで駆け上がりました。
一方、ピロティ構造のビルは、津波が１階部分を通り抜け、ほとんど駆け上がらないため、建物に加わる力をおよそ５分の１に減らすことができたとしています。
壁をなくす代わりにエレベーターや階段を配置した中央部分の柱や壁を強化し、地震や津波に耐えることができるようにしました。
このほか、別の大手建設会社が、建物の形を円柱にして津波を受け流すビルを開発するなど、さまざまなタイプの津波避難ビルの研究が進められています。