【村上ファンド錬金術】表向きの「慈善家」とは別に生臭い動きも
【村上ファンド錬金術】表向きの「慈善家」とは別に生臭い動きも
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110722/ecn1107220930000-n1.htm
ZAKZAK2011.07.22
沈黙を守る村上氏だが、水面下では…
ニッポン放送株のインサイダー取引事件を巡り、かつて「村上ファンド」を率いた村上世彰・元代表(51)の有罪判決(懲役2年・執行猶予3年)が最高裁で先頃確定した。盟友だった堀江貴文・元ライブドア社長(38)が収監間際までメディアへの露出を続けたのに対し、村上元代表は公の場に出ることなく、沈黙を保ったままだ。果たして、村上ファンドは今−。
東京・南青山の「第二宮忠ビル」。青山通りに面して立つ10階建てのビルが現在、村上氏の拠点だ。その3階には特定非営利活動(NPO)法人「チャリティ・プラットフォーム」(CPF)が入居している。村上ファンドが消滅した後の2007年12月、村上氏は突如、同法人の理事に就任した(有罪判決確定後の6月7日付で辞任)。
CPFは寄付文化を日本に根付かせることをスローガンに、集めた浄財で有望な他団体を支援することが目的のNPO法人。直近まで代表だった佐藤大吾理事はもともと学生向け議員インターンシップ事業を行っていた人物。鈴木宗男・元衆議院議員との対立劇で10年ほど前に一躍有名になったボランティア活動家の大西健丞氏も理事会に名を連ねる。
村上氏は理事を辞めたものの今も実質的なオーナーと目される。
「あなたは金もうけの天才だが、欧米の成功者のように寄付をしないからみんなに嫌われる」
外資系証券幹部はある日、村上氏にそう苦言を呈したことを思い出す。これが契機かは分からないが、村上氏は理事就任前後から他団体への訪問を繰り返すなど、チャリティー界の伝道師のように振る舞ってきた。もっともそれは情状酌量を狙った公判対策だったとの見方が根強いのも確かだ。
最近まで第二宮忠ビル3階には兄弟団体の社団法人「シビックフォース」と財団法人「ジャスト・ギビング・ジャパン」も入居。若者中心に20人近くが働いていた。関係者によれば、村上氏が投じた私財はこれまでに13億円を下らないという。
事件後はシンガポールに住む村上氏だが、毎月のように帰国してCPFなどの合同理事会に臨んでいるという。しかし、ファンド運営とは勝手が違うのか、寄付金集めは苦戦続き。CPFの09年度決算を見ると、自らの運営費に大半の資金が充当され、他団体への助成額は2900万円止まり。しかも、大半は兄弟団体向けだった。
「なぜこの目標数値なのか根拠を言え! 最初はどんどんやれ! 結果を出せ! (支援先)NPOから回収してもいい!」
会議の場で村上氏はいつもいらだっていた。風向きがにわかに変わったのは東日本大震災の後とされる。村上氏ならではの商売人魂を見る思いがするが、慈善家という表向きの顔とは別に、生臭い動きも水面下では…。
■高橋篤史(たかはし・あつし) 1968年生まれ。早稲田大学教育学部卒、東洋経済新報社などを経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に『凋落 木村剛と大島健伸』『兜町コンフィデンシャル』など。
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110722/ecn1107220930000-n1.htm
ZAKZAK2011.07.22
沈黙を守る村上氏だが、水面下では…
ニッポン放送株のインサイダー取引事件を巡り、かつて「村上ファンド」を率いた村上世彰・元代表(51)の有罪判決(懲役2年・執行猶予3年)が最高裁で先頃確定した。盟友だった堀江貴文・元ライブドア社長(38)が収監間際までメディアへの露出を続けたのに対し、村上元代表は公の場に出ることなく、沈黙を保ったままだ。果たして、村上ファンドは今−。
東京・南青山の「第二宮忠ビル」。青山通りに面して立つ10階建てのビルが現在、村上氏の拠点だ。その3階には特定非営利活動(NPO)法人「チャリティ・プラットフォーム」(CPF)が入居している。村上ファンドが消滅した後の2007年12月、村上氏は突如、同法人の理事に就任した(有罪判決確定後の6月7日付で辞任)。
CPFは寄付文化を日本に根付かせることをスローガンに、集めた浄財で有望な他団体を支援することが目的のNPO法人。直近まで代表だった佐藤大吾理事はもともと学生向け議員インターンシップ事業を行っていた人物。鈴木宗男・元衆議院議員との対立劇で10年ほど前に一躍有名になったボランティア活動家の大西健丞氏も理事会に名を連ねる。
村上氏は理事を辞めたものの今も実質的なオーナーと目される。
「あなたは金もうけの天才だが、欧米の成功者のように寄付をしないからみんなに嫌われる」
外資系証券幹部はある日、村上氏にそう苦言を呈したことを思い出す。これが契機かは分からないが、村上氏は理事就任前後から他団体への訪問を繰り返すなど、チャリティー界の伝道師のように振る舞ってきた。もっともそれは情状酌量を狙った公判対策だったとの見方が根強いのも確かだ。
最近まで第二宮忠ビル3階には兄弟団体の社団法人「シビックフォース」と財団法人「ジャスト・ギビング・ジャパン」も入居。若者中心に20人近くが働いていた。関係者によれば、村上氏が投じた私財はこれまでに13億円を下らないという。
事件後はシンガポールに住む村上氏だが、毎月のように帰国してCPFなどの合同理事会に臨んでいるという。しかし、ファンド運営とは勝手が違うのか、寄付金集めは苦戦続き。CPFの09年度決算を見ると、自らの運営費に大半の資金が充当され、他団体への助成額は2900万円止まり。しかも、大半は兄弟団体向けだった。
「なぜこの目標数値なのか根拠を言え! 最初はどんどんやれ! 結果を出せ! (支援先)NPOから回収してもいい!」
会議の場で村上氏はいつもいらだっていた。風向きがにわかに変わったのは東日本大震災の後とされる。村上氏ならではの商売人魂を見る思いがするが、慈善家という表向きの顔とは別に、生臭い動きも水面下では…。
■高橋篤史(たかはし・あつし) 1968年生まれ。早稲田大学教育学部卒、東洋経済新報社などを経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に『凋落 木村剛と大島健伸』『兜町コンフィデンシャル』など。