世界で初めて海洋でのガス産出に成功したメタンハイドレート。エネルギー資源の大半を輸入に頼る日本にとって新たな国産資源の確保は明るい話題だ。自給面と資源外交カードとしても期待が高まる一方で、実用化には高いハードルも…。
今回の試験海域となったのは愛知県沖の東部南海トラフの海底。この海域だけでも国内の天然ガス消費量の１０年分以上、日本近海では同約１００年分との推計もある。
日本は海底にあるメタンハイドレートからガスを回収する技術で独走の位置に立った。これについて、日本総合研究所の松井英章主任研究員は「各国のメタンハイドレート採掘への産出技術の輸出が期待できる」と関連産業の将来性を見込む。国内資源の乏しい日本は、ＬＮＧの調達などで厳しい交渉を迫られるケースが目立ったが、「資源調達時の価格交渉力が大きく増す」（松井氏）という。
ただ、課題も多い。生産コストは天然ガスの取引単位である１００万ＢＴＵ（英国熱量単位、天然ガス２５立方メートルに相当）当たり５０ドル（約４７５０円）程度で、シェールガスの価格は３ドル程度。日本のＬＮＧ輸入価格（１５ドル程度）と比べても割高になる。既存の天然ガスと競争できる程度までコストを下げられるか。ここが勝負どころだ。