■「怖がらせる人」は誰?
ところで、わざわざ人を怖がらせようとする人なんているの?と思うかもしれません。
実は、単純なことです。
「怖がらせる」ことで利益を上げる人がいるのです。その点を抑えていれば「怖がらせる人」をあらかじめ特定することも可能です。
たとえば、「あなたの家に悪霊が取り付いているからこのつぼを買うとよい」というような「霊感商法」も、家の価値を下げて、自分の売りたいつぼを高額で買わせるので、基本的には同じことです。
食品に話を戻すと、「あそこの商品は危ない」という仕掛け人は「うちの商品は安全だから買ってくれ」という流れを持っている場合もありますし、それ例外の何かの利益を得る構造が潜んでいる場合もあります。
だからこそ、企業は普段から消費者と密にコミュニケーションし、「信頼」という強固な絆を作っておこうとするのです。これは消費者にとっても、愛すべき商品が不当な理由でなくならないために、とても意味のあることなのです。
■不安にならない強い心を持つ
では、「私たち消費者にできること」は何なのでしょうか。
一番根本的で、一番難しいことからいうと、「不安にならない強い心を持つこと」です。
風評被害は、私たち消費者の不安があおられることによって生まれる現象。そもそも不安にならなければ風評被害は発生しないのです。
情報がない、正しくないこともあり、不安になりやすくなるのはある程度仕方ない面もあります。
そこで、その次に「消費者にできること」とは「リテラシーを高める」ことでしょう。テレビなどの情報をうのみにせず、一度その科学的根拠をみて考える時間を持つということです。
テレビで有名人が「危ない」と言っていたから「危ない」とか、「体にいい」と言っていたから「体にいい」という思考方法を少しチューニングするということです。
テレビで誰かが言っていたら、まずそれが本当かどうかを確認してみる、それがとても大事なことです。どこで確認すればよいのか、ということは、次回書きたいと思います。
有路昌彦
近畿大学農学部准教授。京都大学農学部卒業。同大学院農学研究科博士課程修了(京都大学博士:生物資源経済学)。UFJ総合研究所、民間企業役員などを経て現職。(株)自然産業研究所取締役を兼務。水産業などの食品産業が、グローバル化の中で持続可能になる方法を、経済学と経営学の手法を用いて研究。経営再生や事業化支援を実践している。著書論文多数。近著に『無添加はかえって危ない』(日経BP社)、『水産業者のための会計・経営技術』(緑書房)など。
[ecomomサイト2012年4月17日掲載記事を基に再構成]
風評被害、食の安全
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