●手に入れた自信と体力
福岡で活動するアイドルグループ・HKT48の公演「手をつなぎながら」が2月中旬、千秋楽を迎えた。2011年11月から、1期生とチームHが276回上演した同公演。途中、メンバーの脱退で出演人数がそろわなかったり、SKE48メンバーが助っ人として出演したりしたことも。完走には、メンバーの努力だけでなく、ファンをはじめ、さまざまな人々の支えが不可欠だった。数々の思い出を残した「HKT48の第一幕」を、若田部遥(14)、植木南央(15)、田中菜津美(12)とともに振り返った。
●最多出演は田中菜津美の269回
-「手をつなぎながら」公演、見事完走しましたね
若田部「(田中を指さしながら)一番出演率が高いんですよ」
田中「何回だろう」
スタッフ「276回中の269回」
田中「あと1回出たかった!」
植木「体調管理すごい。風邪もひかずに」
田中「ひいたけど1日で治った」
-さすが、若いですね。印象に残っている曲は
若田部「『ロープの友情』。(小道具で使う)ロープの受け渡しの相手が決まってるんですけど、それが難しくて」
植木「2人で引っ張り合ったりするんだけど、力加減が難しかった」
田中「何にも覚えてないなぁ」
-えー…
若田部「『恋の傾向と対策』は振り付けが難しかった。(練習のときに)みんな鏡に映るメンバーや先生を見ながらやってたら『そんなんじゃだめだ』って、鏡を全部カーテンで隠されて」
田中「あ、思い出した」
植木「間違えた子から抜けていくっていうことになって」
田中「あたしイントロで抜けました(笑)」
若田部「サビ終わるころにはみんな抜けちゃって、南央だけ残ってた」
-すごいですね
植木「残ったんですよ。でも最後はプレッシャーで分かんなくなっちゃった」
若田部「ちなみに、村重も最後まで残ってて『やった! やった!』って言ってたけど『おまえは間違ってた』って言われてた」
-思い入れの強い曲は
植木「チームHの結成前から『チョコの行方』に出てるんですけど、歌詞もダンスも、一番研究した曲。この3人でMCも一緒にするようになり、仲良くなりすぎました」
田中「仲良すぎて、いっつもケンカしてた」
-ケンカ?
田中「(MCの)お題決めるのでケンカして、内容を考える段階でケンカして」
若田部「っていうか集まらないよね」
田中「集まらなくてケンカして」
若田部「そしたら結局時間がなくなって」
田中「で、結局本番グダグダになってケンカするの繰り返し(笑)」
若田部「一時期、なつみかん(田中)がマネジャーさんに頼り切ってて、MCの台本書いてもらったんですけど、びっくりするくらいつまんなかった」
田中「自分たちでやっても失敗し、スタッフさんに頼っても失敗するしで、またケンカ(笑)」
田中「でも、愛ちゃん(多田愛佳)が来てからケンカしなくなった。お題もすぐ決まるし、話も面白くなりました」
若田部「うまい感じにまとめてくれるんです」
-さすが多田姉さん
●つらかった練習…ケンカばかりのMC会議…きついセットリスト
若田部「私『Glory Days』。はるっぴ(兒玉遥)とちょり(中西智代梨)っていう珍しいメンバー。3人で話し合って、SKE48さんのグローリーとは、だいぶニュアンスを変えた。そのときのテーマが『クールパッションフルーティー』(笑)。かっこよく明るく。ちょりが考えました」
田中「私は『この胸のバーコード』。もともと、初日に出る16人から漏れてたけど、初日1カ月くらい前に編成が変わって、選抜に入れたんですよ。それで、初めてもらったユニット曲がこの曲。大人っぽい曲だから、歌詞の意味とか分からなくて。スタッフさんに聞いたり、みんなで話し合ったりした」
若田部「あと『雨のピアニスト』は最初から完璧って言われてました。熊沢(世莉奈)、松岡(菜摘)、穴井(千尋)の3人でやってたんですけど、すごかった」
植木「ゾクッてくるような迫力があった」
-一番好きな曲は
若田部「『火曜日の夜、水曜日の朝』。間奏の振り付けが大好き」
植木「『僕らの風』。一番自分が生き生きしてるなって感じる。踊ってて楽しいのは『ロマンスロケット』のサビ。ジャンプが多いんですけど」
若田部「あれ、きついから意識飛ぶ」
植木「きついのが楽しい」
若田部「いじめられるの、好きだもんな」
植木「違う!」
田中「私『手をつなぎながら』が好きです。一番メンバーとアイコンタクトがとれ、すごく楽しい」
-一番成長できたのは
田中「MCかなぁ。みんな初めはダラダラ話を延ばしてるだけで、楽屋トークだった」
若田部「何を話していいか分からなかったよね。昨年2月のSKE48・チームSさんの博多出張公演を見てからは変わりました。今思うと、本当に恵まれてた。チームSフルメンバーで、空いたポジションには(斉藤)真木子さん。すごいものを見せてもらった」
植木「リハーサルも見学させてもらって、すごく勉強になりました」
-「手つな」公演への思いなどがあれば
若田部「セットリストに感謝です。ここまで激しいって、なかなかない」
田中「最初がこの公演でよかった。体力もダンスの技術も、ある程度は身に付いたかなと思う」
-自信がついた
若田部「最初って基礎をつけるようなのが普通だと思うんですけど、私たちは最初から高度なのをぶち込まれたので」
植木「言い方(笑)」
若田部「これが当たり前だと思ってたから、自信と体力がつきました。どんな公演でも『手つな』よりはきつくないって。一日3回公演をやったとき『もう怖いものはない』って思えました」
-新公演も始まった。ファンへメッセージを
植木「博多…ジェネレーション…?」
田中「最悪。何? ジェネレーションって(笑)」
植木「『博多レジェンド』はかわいい曲も大人な曲もあるので、メンバーのギャップを見てほしいです」
若田部「いろんな人たちのおかげでいいセットリストになったので、伝説になるような公演にしていきたいと思います」
田中「『手つな』の100倍、いい公演だって言われるように、自分らしさも出しつつ、チーム力も大切にしながら頑張っていきたいです」
◆田中菜津美(たなか・なつみ)2000年8月10日生まれの12歳。福岡県出身。168センチという長身と、鋭い突っ込みが特長の小学6年生。チームH最年少。
◆若田部遥(わかたべ・はるか)1998年9月26日生まれの14歳。福岡県出身。父は元ダイエーホークス投手の若田部健一氏。驚異的な記憶力の持ち主。
◆植木南央(うえき・なお)1997年8月12日生まれの15歳。福岡県出身。チームHの「手をつなぎながら」公演に、200回以上出演。ハーモニカが吹ける。
=2013/03/11付 西日本スポーツ=