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“フォトラマ”の誕生― フジインスタント写真システムの開発 |
1981年(昭和56年)10月、当社は、インスタント写真システム“フォトラマ”を発表し、全国一斉に発売する。当社が長年にわたって開発を進めてきた“フォトラマ”は、すばらしい画質を実現し、国内外に、世界の写真業界に、大きな反響を巻き起こす。カラーフィルム製造技術と高感度オートポジ写真乳剤、ダイレリーサー、TCLなど新しい技術の結合によって生まれた“フォトラマ”は、コンベンショナル写真に勝るとも劣らない鮮やかで豊かな色の世界をつくり出す。撮影後約60秒で見事なカラー写真ができあがるというすばらしい特長によって、写真の新しい楽しみ方・新しい活用法をつくり出し、写真の世界を広げていく。 |
“フォトラマ”の発表 |
フォトラマ発表を伝える新聞記事 日本経済新聞 1981年(昭和56年)10月 |
長年にわたる苦闘−“フォトラマ”の開発 |
フジインスタントカメラF−50S(左),F−10(右)と フジインスタントカラーフィルムFI−10 |
“フォトラマ”フィルムの三つの秘密 |
〔システム構成〕 | |
(1) | フジインスタントカラーフィルム(1パック10枚入り) |
(2) | フジインスタントカメラ2機種(F−50S,F−10) |
(3) | 専用ストロボ(F−10との組み合わせで使用) |
(4) | フォトラマプリント(インスタント写真からの焼増し,引伸し) |
〔主な特長〕 | |
(1) | 色が鮮明で,かつ,自然に再現される |
(2) | 階調が豊富で肌色の微妙な調子も良く表現できる |
(3) | 画像がシャープ |
(4) | 撮影後約15秒で画像が現われはじめ,約60秒でまとまる |
(5) | 初めから自然の色彩の絵で現われてくる |
(6) | 画像の形成が最良の点で停止する |
(7) | 全国のフジカラーラボ網を通じて,焼増し・引伸しが手軽にできる |
(8) | フォトラマ写真の余白には,どんな筆記具でもメモが書け,また,空になったフィルムパックは,写真立てとして利用できる |
(1) | 高感度オートポジ乳剤 |
当社は,すでに写真用オートポジ乳剤の工業化を実現していたが,既存技術では感度が低いので,高い撮影感度と高画質が得られるようなオートポジハロゲン化銀乳剤の研究を進め,特殊な素材と高度に制御された結晶製法技術の開発によって,“Hi−SN”(High ratio of Signal to Noise)型オートポジハロゲン化銀乳剤を完成した。この乳剤は,粒子内部に高度に制御された微細構造でできている感光核を持っており,結晶の形は正八面体をしている。 | |
(2) | ダイレリーサー |
オートポジ乳剤の現像を介して,色素を放出して画像を形成する色材として“o-SR(o-Sulfonamid Resorcin)”型ダイレリーサーを開発。Hi−SN型オートポジ乳剤との組み合わせによって,迅速に,豊富な階調をもった美しいカラー画像を出現させる。 | |
(3) | TCL(現像プロセスをコントロールするポリマー)の開発 |
ハロゲン化銀の現像速度は温度によって変化するが,インスタントフィルムは,さまざまな温度下で撮影・現像されるので,撮影時の温度を察知して最適の時間で現像を打ち切り,現像液のアルカリを自動的に中和させることが必要になる。フォトラマフィルムでは,TCL(Temperature Compensating Layer)という特殊なポリマーを開発し,1,000分の1mmの中和タイミング層の中に入れ,このプロセスを制御している。フォトラマフィルムは,25℃の条件で約15秒で画像があらわれ,約1分で現像が終了するようにした。 |
フジインスタントカラーフィルムFI−10の層構成 |
“フォトラマ”の活用 |
フジインスタントカメラF−60AF,F−51S,F−55V |
“フォトラマ”の輸出 |
業務用インスタントフォトシステムの開発 |
顕微鏡写真に活用 されるフォトラマ |
“フォトラマ”の生産 |
フォトラマの宣伝ポスター |
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