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＜大相撲春場所・３日目（12日）＞まさに「荒れる春場所」だ。横綱日馬富士と高安の結びの一番。横綱がもろ差しで万全の体勢で寄るも、土俵際で思わぬ“落とし穴”が待っていた。高安の捨て身の突き落としに左ヒザから崩れ落ちて土。館内には無数の座布団が乱舞した。風呂場からは何度も叫び声が漏れたが、支度部屋の上がり座敷に腰を下ろすと横綱は落ち着きを取り戻していた。

　日馬富士は「まあ、負けは負けです。相手も強くなっている。いなされて、完璧に落ちましたよね。敗因？　まだ相撲が終わってないのに安心しすぎた。（相手を土俵から）やさしく出してやろうと思った。まだ（場所が）終わったわけじゃない。これからが大事」と気持ちを切り替えを強調した。

　今場所は初めて東の横綱となり、これまでとは逆方向から土俵入り。初日から２日連続で足の運びを間違えて正面に尻を向ける“失態”を演じた。この日も土俵を降りる際に太刀持ちと露払いの動きを確認してから体の向きを変えるなど、まだぎこちなさがあった。日馬富士は「あそこ（土俵入り）に集中しすぎた」と苦笑いしたが、連日の不慣れな動きで歯車が狂っていたのか。

　一方、高安は平成生まれ初の金星を獲得した。場所前に日馬富士が鳴戸部屋へ出稽古に来た３日には、稀勢の里が左目の上を切るアクシデントで稽古を中止。急きょ“代役”で横綱の胸を借りた。「よかったですね。貴重な稽古でした。肌を合わせてみて分かることがあった」と話してたが、本場所の土俵で“恩返し”をしてみせた。