阿部、人生初の１イニング２発　２回怒とうの８得点

　３連覇を信じる侍サポーターに、豪快な置き土産だ。８点を奪った２回の猛攻。口火を切ったのは阿部、締めたのも阿部だった。

　大会初となる１イニング２本塁打で、オランダを返り討ち。主砲のバットが東京ラウンドのフィナーレを飾った。

　まずは１本目。先発ベルクマンの高めに浮いた直球を逃さなかった。右翼席中段にグサリ。待望の大会１号ソロで同点に追いつく。松田と長野の適時打で逆転に成功し、さらに２死一、三塁で２度目の打席。今度は低めのカーブを再び右翼席に運んだ。

　試合後はシンノスケ節が弾けた。「ああいう経験（１イニング２本塁打）は初めてだったんで…。サイコーです！」。さらに主将、４番、正捕手の３役を担う重圧について聞かれると「いや〜、あの〜、本当に…。シンドイです！」。そう言いながらも会心の笑顔を見せた。

　大会序盤は貧打にあえいだ侍打線。阿部も例外ではなかった。１次ラウンドの福岡（ヤフオクドーム）では、見かねた立浪打撃コーチが声をかけた。

　「左足の付け根にシワが寄りすぎているよ」

　重心を後ろに残そうとするあまり、体重が最初から左足に乗る。軸は体の中心。ワンポイントアドバイスだった。

　試行錯誤を続けてきた主砲が、ようやく目覚めた。「１次ラウンドで苦労したことが、こういう結果につながったんだと思う」。もう、迷いはない。「絶対に浩二さんを男にしたいですね」。あと２つ。頂点は見えている。　（井上学）