「10条にある『雑報』とは、10~20文字ほどの短い死亡記事などをイメージしています。国会中継は長い時間にわたって撮影していますから、それを適用するのは難しいでしょう。また、40条では、確かに、政治演説は広く知られた方がよいということから、自由に利用できることになっています。しかし、それは演説している人の著作権が制約されるということであって、NHKは演説している本人ではなく別の人格になります。とすると、NHKは著作権を主張できることにもなるわけです」
つまり、国会中継を無断で投稿すれば、著作権侵害になる恐れがあるということだ。
ただ、上野達弘教授は、法的には難しいものの、ドラマや音楽番組とは違い、国会中継は広く国民に知られた方がいいという主張ももっともだとする。
「ユーチューブに投稿した人はそれで大きな利益を得るわけではないですし、NHKにしても収入が減ることにはなりません。今回は、公共性が高い国会中継ですので、自由に使わせてもいいのではというのも分かります。投稿でかえって音楽が売れたこともあるわけですし、ネットに上がったコンテンツをどうするかは、将来の課題になるでしょうね」
NHKの広報局では、取材に対し、「放送した映像が無断でアップされているのを見つけたり、指摘を受けたりした場合、国会中継に限らず削除を要請しています」と説明した。国会中継については、「これまでも削除を要請しており、実際に削除されています」とした。
2ちゃんでは、過去のケースとして、自民党の西田昌司議員が2011年11月15日の参院予算委員会で質問した中継動画が、NHKの著作権侵害申し立てで削除されたことが挙げられている。しかし、国会中継が削除されるのはまれではないか、と依然として疑念がくすぶっているようだ。
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