- [PR]
国際
【東日本大震災】「脱原発」ドイツの現状 国民・隣国に大きな負担 “ひずみ”でも後戻りせず
【ベルリン=宮下日出男】東京電力福島第1原発事故を受けて「脱原発」に舵をきり、エネルギー源の転換を図るドイツでは、風力発電など再生可能エネルギーの普及が進む一方、急激な転換による“ひずみ”も現れている。送電網の整備の遅れは近隣国の電力供給にも影響を及ぼしかねず、国内では転換に伴うコストも問題化している。ただ、ドイツの脱原発の方向性は現時点では揺らいでいない。
ドイツ北東部の送電事業者「50ヘルツ」は昨年末、隣国ポーランドの送電事業者と、国境付近の送電線に配電を調整する機器を取り付けることで合意した。
ドイツでは発電量に占める再生可能エネルギーの割合が昨年、21.9%に拡大し、このうち風力発電の割合は7.3%に上った。電源として成長する風力発電は天候に左右され、ドイツで行き場のない余剰電力が生じるとポーランドに流れ込むことになる。
そのため、送電量が両国間の通常取引の3倍に上ることもあるなど、不安定な送電がポーランド国内の停電などを招きかねない状態だった。同じ問題はチェコでも起きている。
再生可能エネルギーの普及のため、ドイツで実施されている「固定価格買い取り制度」でも、買い取り費用は電気料金の形で消費者が負担する。隣国にも“迷惑”となる余剰電力は「利益なき輸出」(独紙ウェルト)だといった批判も聞かれる。
ドイツでは風力発電は主に北部で普及しており、国内の主な消費地である南部への送電網の整備が追いついていない点も懸念材料だ。すでに停止した原発8基の多くも南部にあり、2015年以降も新たな原発の停止が予定されている。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]