「脱原発」を撤回したうえで再生可能エネルギーの導入を進め、できる限り原子力への依存度を減らす――。安倍晋三首相は繰り返しこう述べてきたが、政権発足3カ月にしてようやくエネルギー政策の具体的な議論が始まる。
経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の総合部会は15日に初会合を開き、政府の中長期のエネルギー政策の議論を開始する。
東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえたうえで、エネルギーの安定供給とコスト抑制をどう実現するか。行き場のない放射性物質の処分法も含めて国民の間で意見が分かれる原子力の利用をどんな形で進めるのか。大きな議論の仕切り直しだ。
中長期のエネルギー政策があいまいでは海外からの資源調達や企業の設備投資の腰が定まらないだろう。地球温暖化対策など環境政策も決められない。国民生活や企業の競争力にかかわる。できるだけ早く、明確で具体性のある政策を打ち出してもらいたい。夏の参院選を意識して踏み込んだ議論を避けるようでは困る。
「2030年代に原発の稼働ゼロ」の方針を決めた前民主党政権は国民や有識者、関係自治体などの意見を集約できず判断がぶれた。国の将来に対し責任ある政策づくりとはいえなかった。
「決められない政治」への反省からか、新設の総合部会は「脱原発」の有識者の数を減らした。政権が交代し安倍政権は「原発稼働ゼロ」の撤回を明言しており、政権が目指す方向に沿う人選にすることに正当性はあるだろう。
しかしそうであってもなお政府には原発をめぐり国民の間に多様な意見がある事実を改めて強く意識してもらいたい。国民は原発問題の最大の利害関係者であり、広範な支持がなければ原発の長期的な維持が困難になりかねない。
国民に判断材料を示したうえで、政府が目指す方向について説明を尽くす努力を怠ってはならない。例えばタウンミーティングを各地で開くのはどうか。今回の政策決定のためだけではなく、決定後もエネルギー政策に関し幅広い議論を継続するのが望ましい。
国会も機能を果たすべきだ。衆院が新設した原子力問題調査特別委員会は放射性廃棄物の処分などについて、行政府とは異なる観点から政策議論を深める格好の場になるはずだ。
安倍晋三、福島第1原子力発電所、東京電力、エネルギー政策、脱原発、再生可能エネルギー
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