顧問先の会社に架空の損失を計上させて法人税約３１００万円を脱税したとして、大阪地検特捜部は５日、元国税局職員で税理士の細名高司容疑者（６０）＝兵庫県西宮市＝ら３人を法人税法違反の疑いで逮捕し、大阪国税局と合同で細名容疑者が実質的に経営する税理士法人などの関係先を家宅捜索した。

　他に逮捕されたのは同県伊丹市の記帳代行業、中村晋也容疑者（４１）、大阪市西区の会社役員、小川大典容疑者（４６）。特捜部は３人の認否を明らかにしていない。

　逮捕容疑は、３人は共謀し、不動産業「大阪産業」（東大阪市）の税務申告で、同社が小川容疑者側に貸した金を回収できなかったという架空の損失を計上し、２０１０年１１月からの１年間で法人税約３１００万円を脱税した、としている。細名容疑者は同社の顧問税理士で、特捜部は同社の実質的経営者の男性（６０）についても任意で捜査を進める。

　特捜部は、細名容疑者が他の顧問先でも脱税の手法を指南していた可能性もあるとみて捜査を進める。細名容疑者は大阪国税局ＯＢで、神戸税務署で勤務していた９８年、自分の担当した税務調査先に親族の税理士を紹介していたとして、懲戒免職された。【内田幸一、堀江拓哉】