メタンハイドレート:愛知県沖で産出成功 課題はコスト

毎日新聞 2013年03月12日 21時49分(最終更新 03月12日 22時14分)

メタンガス産出試験海域
メタンガス産出試験海域

 経済産業省は12日、愛知県沖の海底(東部南海トラフ海域)にある「メタンハイドレート」から天然ガスの主成分、メタンガスの試験採取に世界で初めて成功したと発表した。日本近海のメタンハイドレートの埋蔵量は、国内の天然ガス消費量の約100年分に相当するとの推計もあり、将来の国産燃料として期待される。政府は2018年度の商業化を目指す方針だが、開発コストの高さなど課題も多く、実用化のハードルは高そうだ。

 「米国の(新型天然ガス)シェールガスも(開発が)技術的に難しいとされた。課題をひとつひとつ乗り越え、日本周辺の資源が一日も早く活用できるようにしたい」。茂木敏充経産相は12日の記者会見で国産燃料開発に意欲を示した。

 日本近海では、東部南海トラフ海底だけで国内天然ガス消費量の10年分以上を賄うメタンハイドレートの埋蔵量が見込まれる。日本海の秋田・山形・新潟沖や北海道・網走沖などの海底でも存在が有力視され、日本近海の埋蔵量は国内天然ガス消費量の100年分との試算もある。

 政府はガスを安価に採取・貯蔵する技術を5年以内に開発、18年度にも商業化したい考え。東京電力福島第1原発事故後、原発再稼働が見通せない中、経産省は「エネルギー確保の切り札」とメタンハイドレートに期待する。

 ただ、開発コスト低減は難題。海底のメタンハイドレートからメタンガスを分離するには▽周囲の温度を上げる▽圧力を下げる▽特殊な薬剤を注入する−−などの作業が必要。掘り当てれば噴出する通常のガス田に比べ、井戸1本当たりのガス採取量は10分の1〜100分の1程度とされる。水深約1000メートルの海底を約300メートル掘り下げてガスを取り出す今回の試験採取にかかるコストは100万BTU(英国熱量単位)当たり約50ドル。シェールガスの米国での市場価格(約3ドル)に遠く及ばず、日本の天然ガス輸入価格(約15ドル)の3倍以上だ。

 今回の試験採取にたずさわる独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(JOGMEC)幹部は「コスト低減には採取量を増やす技術革新が不可欠」と話す。【和田憲二】

 ◇都市ガスにも利用可能

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