岩手のニュース

津波防災、大船渡から発信 被災企業、伝承館建設目指す

津波で破壊された旧本社を見詰め、逃げる大切さをかみしめる斉藤さん。建設を目指す「津波伝承館」の別館として保存する予定だ

 東日本大震災で被災した岩手県大船渡市で、地元の有志らが「津波伝承館」の開館を目指している。映像や語り、損壊した建物の保存などを通じて、津波から素早く避難することの大切さを発信し続けるのが狙い。資金難で建物整備のめどは立っていないが、震災から丸2年の11日、市内の工場に仮の拠点を構えて活動に乗り出す。

 地元企業の経営者らで昨年8月に設立した一般社団法人「大船渡津波博物館」が運営する方針。代表理事の斉藤賢治さん(65)が専務を務め、津波で被災した「さいとう製菓」(大船渡市)旧本社の東側の工場跡地に建設する予定だ。
 構想では、人工的な水流で津波の威力を疑似体験するコーナーを設けたり、被災車両などを展示したりして、津波の恐ろしさを伝える。インターネットで広く情報発信するほか、世界津波会議の開催を目指す。
 11日からは、津波の被災を免れた同社中井工場内のホールを使用し、活動を始める。斉藤さんが撮影した津波の映像を流したり、地元ボランティアが体験を語ったりする。予約制で料金は高校生以上300円、小中学生100円。
 旧本社は震災遺構として保存し、別館としたい考え。本館建設と合わせ、費用は3億数千万円を見込み、国内外の企業などに寄付を募っている。
 1960年のチリ地震津波を教訓に、今回の地震ですぐに高台へ避難した斉藤さんは「逃げなかったという人が結構いる。『あなたに助かってほしい』というメッセージを伝えたい」と話す。
 連絡先は大船渡津波博物館(さいとう製菓中井工場内)0192(47)4408。


2013年03月09日土曜日


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