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2012年5月に、移民受け入れについて当時国民の総意を反映し、ビザ発行など外国人の長期滞在に制限を設けていたシンガポール。
 
ところが、それから1年も経たないうちにシンガポール政府は、一転して移民の受け入れ拡大を提起するし、抗議する国民は、2月16日に数千人規模の反対集会が行った。

会場となったのは、都心にある公園。シンガポールでは、デモなどの開催はその公園で行うことが定められており、これまで活動家は、毎回ここで主張を繰り広げてきたという。
 
シンガポールの人口は、現在530万人ほど。政府は2030年までに、この人口を690万人にまで増やしたいと考えており、そのために移民を広く受け入れたいようだ。
 
ところが、集会に参加した国民は雇用を奪われる不安、交通機関の混雑を問題として挙げ、これらが一定の解決の道筋もないまま、闇雲に移民を受け入れる政府の判断を否定している。

livedoorネットリサーチでは「日本も移民受け入れを行うべき?」と題してアンケートを実施している。
 
このアンケートには、576件の回答が寄せられており、そのうちの87.7%の方々は「行うべきではない」と答えている。寄せられたご意見は、以下のとおりとなっている。
・日本にはすでに(不法入国だが)移民の失敗例があるので新たな移民はいりません。

・移民という言葉がネックだよね。本国で食いはぐれた外国人が、日本で一旗あげようとして押しかけてくるイメージがある。そういう「質の悪い外国人」はお断りだな。
世界に通用するような優秀な人材を集めて、勝負の場を日本で提供する、そんなイメージならアリかもしれない。シンガポールも似たようなことを狙ってるんじゃないのかな。

・これから人間にできる仕事はどんどん減り、失業率は上がり続けるだろう。少子化は望ましい現象。大事なことは教育レベルを上げること。移民受け入れなんてアホすぎ。

・「少子化だから移民受け入れ」は迎え酒と一緒。少子化の根本原因を絶たなければ同じことの繰り返し。そのうちにボロボロになって消滅する。

・ヨーロッパで失敗しているのに同じ轍を踏む意味がまったくわかりません。
かつて、シンガポールと似たような経緯を歩んだことのあるオランダにおいては、移民政策ははっきりいって成功したとはいい難い結果を呼んでいる。
 
また、人口が減ったシンガポールと、国民が1億人を超えている日本を一緒くたに考えること自体がナンセンスと考える方もいたようだ。
 
かつて発生した、中国に居留していた折に襲撃されて亡くなった日本人の事件もそうだったが、こういった移民問題は、必ず何らかのトラブルを生むもの。日本が簡単に始められるようなものではないだろう。

さて、反対に移民受け入れを「行うべき」と回答したのは、全体の12.3%。
 
ご意見は寄せられていないものの、恐らくこちらの回答を行った方々は、他国で何らかの致命的な国難が生じたときを想定していたのではないだろうか。
 
例えば、アジアのある一国が崩壊してしまったり、大国に攻め込まれてしまったとき、人道的支援として日本への一時的な受け入れを容認するといった法案は、恐らく日本政府の中でも議論されることになるだろう。
 
文化の異なる人々が、自国に移民として流入してくる場合に生じる弊害は1つや2つではない。シンガポールでは、移民が安い労働力として重宝されるのではないかという危機感が、国民を困惑させているようだ。

(伊藤洋装)

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