日比谷野外音楽堂に6000人・国会周辺に4万人!!
東京電力福島第1原発事故から2年になるのを前に、「原発ゼロ」を目指す市民らの「原発ゼロ社会」を求める集会や行進が10日、各地であった。
首相官邸周辺や各省前をデモ行進した。参加者らは強い風の中、「原発いらない」「再稼働反対」などと声を合わせ歩いた。
デモに先立ち、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂での集会の参加者は約6千人で、中に入りきれない人が周囲にあふれた。
集会の冒頭、参加者は東日本大震災の犠牲者、東京大空襲の犠牲者に1分間の黙とうをささげた。
福島県いわき市の母親がゲストスピーチし、協力団体の代表5氏があいさつ、主催した「首都圏反原発連合」のミサオ・レッドウルフさんは「今年こそは原発ゼロを政府に言わせることを目指す」と、また、前日、都内で1万5000人が参加して開かれた「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」呼びかけ人の一人、作家の落合恵子さんが「無関心層にどれくらい言葉が響くかが効果につながる。声をかけ続けましょう」と訴えた。
福島県のNPO「いわき放射能市民測定室」の鈴木薫事務局長も壇上に立ち、「(2年前の)あの日から一歩も前に踏み出していないことを強く感じる。人の命の大切さに真剣に向き合うことができていない」と、原発再稼働を求める経済界や政府の容認姿勢を批判した。
日本共産党の志位和夫委員長(あいさつ)をはじめ各党の国会議員、ミュージシャン、映画監督など多彩な人たちがスピーチし、「福島の苦労を忘れないでほしい。原子力発電をやめよう」(佐藤栄佐久元福島県知事)などと訴えた。
集会後、「再稼働反対」などと書いたプラカードを掲げて官庁街や国会前を練り歩いた。
主催した市民団体「首都圏反原発連合」は12年3月から毎週金曜日に首相官邸前で抗議行動を続け、3月1日で45回目を迎えた。
反原連の大行動には、「さようなら原発1000万人アクション」「脱原発世界会議」「原発をなくす全国連絡会」「経産省前テントひろば」「再稼働反対!全国アクション」の5団体が協力した。
6歳、4歳、2歳の3姉妹を連れて参加した東京都板橋区の女性(37)は「地元の抗議行動も含めてなるべく子どもたちと来るようにしています。原発をなくしてほしいと願う人が、こんなにたくさんいるんだって、感じ取ってほしい」。
5歳の息子と一緒に参加した東京都立川市の女性(40)は「子どもたちの未来を考えたら、原発は絶対にあってはいけない。この子がおとなになったとき、お母さんたちが原発をなくしたんだと語れるように頑張りたい」と話した。
幼い息子2人を連れた主婦(29)は「いま(原発は)いらないと主張しないと、なし崩しで再開してしまう」と語った。
原発事故を苦に自殺した福島県相馬市の酪農家、菅野重清さん(当時54歳)の妻バネッサさんも参加した。
毎週金曜日の抗議行動に参加している千葉県松戸市の男性(65)は「かつて福島に住んでいたこともあり、原発事故がひとごととは思えない。事故から2年たったが、これからも声を上げ続けたい」。横浜市から妻(34)と8カ月の長男を連れて参加した会社員(33)は「子供たちに原発のある社会を残すわけにいかない」と話した。
杉並区で原発反対のデモに参加している男性(22)は、「原発がなくても電気は足りています。デモでわかりやすく伝えていきたい」と話し、インターネットで首都圏反原発連合のホームページを見て参加した男子高校生は、「僕たち若い世代が原発反対の声を上げていきたい」と語った。
一緒に参加した男子中学生は、「政府が原発は安全だといっても信用できません。福島で起きた事故を繰り返してはいけない」と話した。
反原連がはじめて行う国会請願デモには、全国連絡会の集会参加者も合流。煙霧と強風のなか、ドラム隊を先頭に「原発なくせ」と力強く唱和して行進しました。デモは2時間にも及んだ。
国会周辺には、日本音楽協議会が脱原発を訴えオリジナルの歌をうたう「歌声エリア」なども設置された。午後5時になると参加者たちは国会議事堂正門前で「国会前大集会」を実施。集会には菅直人前首相も参加しスピーチを行った。
日比谷公園では同日、「311東日本大震災市民のつどい ピースオンアースステージ」も開かれた。
国会議事堂の近くで、グループの代表者が菅元総理大臣や共産党の笠井議員、社民党の福島党首たちと面会し、原発の再稼働に反対するとともに、すべての原発の廃炉を求める意志を伝えた。
初めて活動に参加した子ども連れの29歳の主婦は「声を上げることが大切だと思って参加しました。子どものことを考えると、原発には反対です」と話していた。
ミサオ・レッドウルフさんは、「去年夏に参加者が増えたのは、原発事故が収束しないなかで再稼働が行われ、みんなの怒りが大きくなった結果で、特異な現象だと捉えている。その一方で、デモや抗議は地方にも広がっていて、反原発を主張している人の数自体は減っていないと思う」と語った。
大阪市でも御堂筋などでデモ行進。インターネットなどで参加を呼びかけた市民団体代表の池島芙紀子さん(73)は「あれだけの惨事があったのに、今の政権は何もなかったように再稼働を進めている」と危機感をあらわにした。
岐阜・中津川では、9日、すべての原発を廃炉にすることを求める集会とデモがあった。市民有志のグループ「原発はいらん中津川集会」(野田契子代表)が「フクシマを教訓にしないとまた同じことが起きる」と呼びかけて開いたもので、市民ら約30人が参加した。
集会は市中心部の緑町公園で開き、野田代表らが原発推進政策を進める安倍政権にふれ「事故を風化させないよう怒りをもって反原発の声を上げ、福島の人たちに思いを寄せていきたい」と訴えた。さらに、多量の電力を必要とするJR東海のリニア中央新幹線計画の問題性も指摘。原発再稼働だけでなく「反リニア」の運動の必要性を訴えた。
参加者らは「原発ゼロ」に向け集会やデモを継続してアピールしていくことを宣言。このあと、「大飯原発再稼働NO!」と書いた横断幕を掲げ、「原発はいらない」などと声を上げながらJR中津川駅前の中心街をデモ行進した。
家族で参加した同市川上、牧師(52)は「科学は万能ではない。福島の人たちのことを考えたら原発の再稼働は狂気の沙汰。原発ゼロに向かうべきだ」と話した。
日本原燃の使用済み核燃料再処理施設(青森県六ケ所村)の撤廃を求める市民団体などは10日、青森市で集会を開き、東北電力東通原発(同県東通村)の再稼働反対を訴え、市内中心部をデモ行進した。
集会には同県弘前市出身のルポライター鎌田慧さんら約1300人が参加。鎌田さんが「下北半島を(原発事故の起きた)福島のようにしてはいけない」とあいさつすると、一斉に拍手が起こった。
集会後、参加者は「原発いらない」などとシュプレヒコールを上げながら行進。青森県庁前では手をつないで庁舎を囲んだ。
函館市では、Jパワー(電源開発)大間原発(青森県大間町)の建設中止を訴える集会「つながろうフクシマ 大間原発を止めよう市民大集会」が開かれた。大間原発に反対する市民団体が企画し、大雪の中、約450人が参加した。
集会では、東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげた後、主催者を代表して「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表が「多くの国民が原発ゼロを望んでいる。力を結集して大間を止めよう」と訴えた。
その後、参加者は横断幕やプラカードを手に「ストップ大間」「バイバイ原発」などと声を上げ、市内をデモ行進。函館市本通の主婦、中野けい子さん(64)は「この冬、泊原発なしでも道内の電力はまかなえた。原発のない社会にしたい」と語った。
旭川市では平和運動フォーラム道北ブロック協議会が脱原発集会を開き、労組や市民団体から約400人が参加。北海道電力泊原発(泊村)は周辺に活断層が指摘され、地震や津波の影響が懸念されるとして再稼働反対などを訴えた。
また、福島第1原発事故収束の見通しが立たない中で原発再稼働を容認する論調が増えてきたことや、原発ゼロの方針転換を示している安倍政権に警戒感を示し、「(原発は安いと)電気料金を人質に取りながら新しい安全神話を作ろうとしている」などの批判が相次いだ。
さらに、日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センター(深地層研)で先月、大量の地下水流出やメタンガス発生を公表しなかった問題は、「隠ぺい体質が明らかになった」と厳しく批判。深地層研で研究している核廃棄物の地層処分も「10万年も監視が必要で、見直すべきだ」と訴えた。
室蘭市では核燃料サイクル施設がある青森県六ケ所村と、原発事故後の福島をテーマにしたドキュメンタリー映画「福島六ケ所未来への伝言」の上映会とトークショーがあった。監督でフォトジャーナリストの島田恵さん(54)が「3・11を経験し、価値観の転換期に来ている。次世代を考えて行動しなければならない」と提言した。
島田さんは核燃問題で揺れる村に衝撃を受け、90〜02年に在住して写真を撮影。11年から動画に取り組み、今年2月に同作品を完成させた。「核燃の歴史は漁師や農家の抵抗の歴史。風化しないように記録した」と述べた。
このほか、この日を中心に全国では約300カ所で原発をなくす集会やデモなどが行われた。
10日に開かれた「東日本大震災復興と原発ゼロの実現めざす3・10東京集会」で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなったあいさつは次のとおり。
みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声、拍手)。日本共産党の志位和夫です。日本共産党を代表して心からの連帯のごあいさつをさせていただきます。(拍手)
私は昨日、福島第1原子力発電所の視察に行ってまいりました。原発サイトの中に入って視察し、免震重要棟の内部でも説明を受けました。いま、福島原発はどういう状態になっているのか、そのご報告をまずさせていただきたいと思います。
福島原発の現状――「収束」とほど遠い、事故の真っただ中にある
福島第1原発の現状を一言でいいますと、政府は「収束宣言」をしたわけですけれども、収束とはほど遠い、事故の真っただ中になおあるというのが現状であります。
とりわけ、汚染水の増加がきわめて深刻です。危機的な状況にあるといわなければなりません。
いま、福島第1原発では、1号機、2号機、3号機のメルトダウンした核燃料を冷やすために大量の水を送り続けるという作業が続いています。ところが、原子炉建屋などに地下水が1日400トンも、どんどん流れ込んでくるわけです。そのために、高濃度の汚染水がどんどん増加するという事態が起こっているわけであります。
放っておきますと汚染水があふれ出しますから、高濃度の汚染水の中から放射性セシウムを除いて、残った汚染水をタンクに詰めるという作業が行われています。放射性セシウムを除いたといっても、放射性ストロンチウムなどさまざまな放射性物質が入っている汚染水ですが、それをタンクに詰める作業が行われています。
行ってみますと、原発サイトの中はタンクだらけです。一つのタンクに1000トンの水が入るそうですが、1日400トンの地下水が流れ込むわけですから、2日半でいっぱいになってしまう。この1000トンのタンクをはじめ、大小の800ものタンクが林立している。ここが本当に原子力発電所なのかと思うような光景が目の前に広がってきます。
すでにタンクに詰めた汚染水は27万トンです。どんどん増えます。タンクを増設するという説明でしたが、増設できる限界は70万トンまでということでした。そうしますと、増設をしたとしても、あと2年で汚染水の置き場がなくなってしまうという説明でした。
そこでいま東電が考えているのは、「アルプス」(ALPS=多核種除去装置)という機械をつかって、タンクの汚染水からさらに放射性ストロンチウムなどを除去し、処理後の汚染水を「海洋放出」してしまおうということです。しかし、「アルプス」が予定通り働いて、放射性ストロンチウムなどを取り除いたとしても、放射性トリチウム(水素の同位体で「3重水素」ともいう)というのが残るのです。
みなさん。どんな形にせよ放射性物質を海に放出するなどということは絶対に許してはならないということを、私はいいたいと思います。(拍手)
原発事故の収束と廃炉は一大事業――東電と国は責任をもってやりぬけ
いま、こういう状況になっているのが福島原発であります。
みなさん。「収束」などしていません。事故から2年たってもなお事故の真っただ中にあるのが福島原発です。汚染水一つとっても、解決の見通しがないのが現状なのであります。
原発事故の収束と廃炉のために、東電の責任はもちろんですが、日本の英知を結集した一大事業としてこの仕事をやりぬかなければなりません。
そのさい、現場では、3千人もの人々が収束と廃炉のために働いているわけですが、安全と健康が心配です。労働条件も心配です。安全管理、健康管理に万全を期し、労働条件を可能なかぎり良くしていくことが必要です。
それも含めて、収束と廃炉という大仕事を、東電と国は責任をもってやりぬけということを、私は、強く求めていきたいと思います。(拍手)
「収束宣言」を撤回し、除染と賠償を徹底的に行え
私は、福島第1原発を視察し、いまお話しした原発の現状をふまえて、とくにつぎのことを要求していきたいと思います。
第一に、「収束宣言」を撤回して、福島のすべてのみなさんがふるさとを取り戻すまで、収束と廃炉、除染と賠償を徹底的に行っていく責任を、東電に果たさせ、国に果たさせていこうではありませんか。(大きな拍手、「そうだ」の声)
政府が「収束宣言」を出したことは、被災者支援のすべての施策を中途半端にし、復興にとりくむうえで大きな障害になっています。原発の現状のいったいどこが「収束」か。「収束宣言」を取り払い、福島を取り戻すまで、福島に心を寄せて、ともに力をあわせようではありませんか。(拍手)
原因もわからず、収束すらしていないもとで再稼働など論外
第二に、訴えたいのは、原発再稼働など論外だということです(拍手)。だいたい事故の原因すらわかっていません。地震・津波の後、どういう経過を経て原発が壊れたか、経過すらわかっていません。そして、さきほどお話ししたように、何よりも事故が収束すらしていないではありませんか。
事故の収束すらできない政府が、どうして再稼働などやることが許されるでしょうか。断じて許すわけにはいきません。(大きな拍手、「そうだ」の声)
私は、先日、衆院本会議で安倍首相をただしました。“あなたがた自民党政権は、「日本では過酷事故は起こらないから原発は安全だ」と「安全神話」をこしらえて、あの事故を起こした。厳しく反省すべきだ”とただしました。
そうしましたら首相は答弁で、“「安全神話」については反省いたします。おわびします”といいました。「おわびする」というのだったら、再稼働なんかできないはずではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
安倍内閣がいまやろうとしているのは、新たな「安全神話」づくりです。これまでの「安全神話」は、「日本では過酷事故は起こらないから安全です」という「神話」でした。いま原子力規制委員会が作ろうとしている「新安全基準」に盛り込まれている「新安全神話」は、「過酷事故が起こることはありうるけれども、世界最高水準の安全性が確保されます」(笑い)という「神話」です。このまったく自己矛盾した悪質な「新安全神話」をてこにして、原発再稼働を進める動きを絶対に許さないたたかいにとりくもうではありませんか。(大きな拍手、「そうだ」の声)
人間社会と原発は両立できない――「即時原発ゼロ」の政治決断を
そして第三に、私が訴えたいのは、人間社会と原発は決して両立できないということです。
私はJビレッジ(楢葉町の作業拠点)というところからバスで福島第1原発に向かう途中で、いわゆる「警戒区域」――「帰還困難地域」と国が区分している地域に入りました。
「帰還困難地域」に入りますと、田畑にはセイタカアワダチソウなど雑草が生い茂っている。住宅も荒れ果てた状態です。もちろん、人の姿はまったくありません。あたかも2年の間、この地域では時間が止まったかのようであります。
みなさん。この「帰還困難地域」とされている地域には、2万6千人もの方々の生活の営みがあったわけです。その生活の営みを一瞬にして断ち切ってしまったのが原発事故であります。私は、その恐ろしさを、目のあたりにする思いでありました。
みなさん。原発と人類社会は共存などできません。そして、再稼働はやらせてはならないし、できません。それならば、みなさん、ただちに日本中のすべての原発をなくせ――「即時原発ゼロ」の政治決断を、政府に求めていこうではありませんか。(大きな拍手、「そうだ」の声)
今日を新たな出発点にして、「原発ゼロの日本」をつくるために、ともにがんばりましょう。(歓声、大きな拍手)
原発ゼロ☆大行動 2013年3月10日(日) 福島事故2年 東京・日比谷など
この日は北九州・大阪・名古屋などでも抗議が行われる。全国同時大規模アクション!!
諮問会議 危うい中立 原発推進派2人が兼務 / 東京電力はどこまで嘘つきなのか
毎週金曜日に首相官邸前抗議行動を続けている首都圏反原発連合(反原連)は、東日本大震災・福島第1原発事故から丸2年をむかえる3月11日の前日・10日(日)に、原発ゼロにむけた大規模行動を東京都千代田区の日比谷公園野外音楽堂、永田町、霞が関一帯で予定。
題して「0310原発ゼロ☆大行動」。午後1時から日比谷野外音楽堂で集会を開き、2時に日比谷公園中幸門からデモが出発。5時から7時まで、国会議事堂正面前で集会を開く。また、この日は、各省庁前でも抗議行動もとりくむ。
このほか、30都道府県で具体化が始まっており、同日には青森市で「さようなら原発・核燃『3・11』青森集会」、大阪市で「さよなら原発3・10関西2万人行動」、鹿児島市で「3・10さよなら原発!かごしまパレード」などが計画されている。
北海道、群馬、石川、福井、静岡、京都、奈良各道府県などでも行動が具体化されており、これに先立ち、3日には名古屋市で「さよなら原発in愛知 明日につなげる大集会」が開かれる。
「0310原発ゼロ☆大行動」は、「さようなら原発1000万人アクション」「脱原発世界会議」「原発をなくす全国連絡会」「経産省前テントひろば」などが協力する。
反原連は「原発ゼロにむけて決定的な一歩を記すために、原発即時停止の大きな声を一緒に安倍政権に届けましょう」と、多数の参加を呼びかけている。
☆ ライブ 10日原発ゼロ大行動へ 参加呼びかけ 路上
首都圏反原発連合が10日に開く「原発ゼロ☆大行動」を大勢の参加者で成功させようと3日、東京・新宿駅前でカウントダウンライブ(主催は同実行委員会)が行われました。
大勢の通行人が行き交う交差点前の路上で、アーティストの雷蔵さんらさまざまな出演者や参加者が、歌と音楽で「原発ゼロ」を訴えました。歌が始まると、周囲に人だかりができました。出演者が「原発いらない」「再稼働反対」とコールすると、見物していた人たちも一緒に腕をふり声をあげました。
「原発ゼロ☆大行動」への参加を呼びかけるビラを配布。缶バッジやブブゼラなど大行動で使うアピールグッズをつくるブースも設営され、子どもたちが集まりました。
中央青年学生連絡会議(中央青学連)の林竜二郎さんは「いま改めて2年前の原発事故を振り返り、原発がまた動かされようとしている現実を見て、原発いらないの声をアピールしていきましょう」と訴えました。
首都圏反原発連合の戸田裕大さんは「10日の大行動は、忙しくて金曜日の首相官邸前行動には来たことがないという方も、10分でも20分でも参加していただいて、一緒に声をあげましょう。原発のことを知り考えていくきっかけにしてください」と呼びかけました(13年3月4日配信『しんぶん赤旗』)。
☆ 3・10全国行動 「原発ゼロ」の民意を示そう
東日本大震災と福島原発事故から2年にあたる3月11日の前日、震災復興や「原発ゼロ」をかかげ全国いっせい行動が行われます。安倍晋三政権が「原発ゼロ」を否定し、原発の再稼働や新設を公言するなか、「原発ゼロ」の民意を全国で示すことは、安倍政権の原発推進への大きな抗議となります。
「即時ゼロ」再稼働反対を
2年前の福島原発事故は、原発がひとたび事故をおこせば、時間的にも空間的にも被害が広がりつづけ、他の事故にはない「異質の危険」をもつことをまざまざと示しました。もはや原発と人類が共存できないことは明らかで、原発は今すぐなくすしかありません。
福島原発事故はいまだ収束していません。東京電力は原子炉を冷却した汚染水を海に流す計画まで持っています。「安全・安心の福島」を取り戻すため不可欠な除染、賠償は遅々としてすすんでいません。
ところが、安倍政権は、「オール福島」の願いである「収束宣言」の撤回すら拒んでいます。それどころか安倍首相は、アメリカのオバマ大統領に民主党政権が決めた「2030年代稼働ゼロ」という不十分な方針すら「ゼロベースで見直す」と約束しました。
民意は「原発ゼロ」であり、国民的議論の結果として政府がまとめた「過半の国民は、原発に依存しない社会の実現を望んでいる」という意思は政権が変わっても変わるものではありません。「即時原発ゼロ」を国民の多数派にするとりくみをすすめましょう。
安倍政権は、原子力規制委員会が7月に策定しようとしている「新安全基準」をテコに再稼働をねらっています。しかし、「新安全基準」(骨子案)は、事故原因も究明されていないもとで小手先の対策を並べただけであり、原発直下に活断層があっても地表に現れていなければ認めるという骨抜きのものです。さらに、そもそも「過酷事故」を想定しながら、「世界最高水準の安全」と強弁する矛盾したもので、規制委員会も「リスクは残る」と「安全」でないことを認めざるを得なくなっています。こんなものをテコに再稼働を強行するなど到底許されません。
「3・10行動」を「即時原発ゼロ」と再稼働反対で大きく成功させ、安倍政権の原発推進にストップをかけることが重要です。全国270カ所以上の地域で集会やデモをはじめとした多彩な行動が10日を中心に計画されており、震災1年を上回る規模にと共同が広がっています。
東京では、「原発をなくす全国連絡会」が日比谷公園で集会を開き、首都圏反原発連合に協力して、国会請願デモ、国会前集会を開きます。昨年の「11・11国会包囲」をこえ、日比谷から霞が関一帯を文字通り「原発ゼロ」の民意で包囲する大行動です。
参院選でも大きな争点に
この1年間、「原発ゼロ」の共同はかつてなく広がり、官邸前抗議行動をはじめとした全国の金曜行動や草の根のデモなどは継続したとりくみになっています。「3・10行動」は、そうした共同をさらに発展させる場です。
「3・10行動」は、参議院選挙にむけて「原発ゼロ」を大きな争点にしていく第一歩の行動ともなります。日本共産党は、全国で「3・10行動」を成功させるために力を尽くしていきます(13年3月2日配信『しんぶん赤旗』―「主張」)。
☆ 大間原発、建設凍結を 函館市長ら政府に要請書
北海道函館市の工藤寿樹市長らは19日、電源開発(Jパワー)が青森県大間町で進める大間原発建設の無期限凍結を求める要請書を政府などに提出した。政権交代後は初めて。市は建設差し止め訴訟を準備しており、政府の対応を見て、提訴するかどうか決める。
工藤市長は経済産業省や自民党本部を訪問し、市に隣接する北斗市や七飯町の首長らも同席した。工藤市長は「東京電力福島第一原発事故以前の安全神話の中で建設が進められた大間原発には反対だ」などと訴えた。
要請書は「大間原発から函館市までの距離は最短23キロ。事故が起きれば、観光や漁業、農業を基幹産業とする道南地域の経済に壊滅的な打撃を与える」と指摘している(13年2月9日配信『東京新聞』)。
☆ 原発 ゼロへ 事故から2年 3月東京行動出そろう 被災地から発言 国会請願デモ トークライブ…
10日
3月10日は、「原発をなくす全国連絡会」による「東日本大震災復興と原発ゼロの実現めざす3・10東京集会」と、首都圏反原発連合(反原連)による「0310原発ゼロ☆大行動」が行われます。
全国連絡会の「東京集会」は、日比谷公園草地広場(予定)で、午前11時から開催するために準備がすすめられています。文化行事をはじめ福島、宮城、岩手、茨城の被災地からの発言、反原連の連帯あいさつ、国会議員のあいさつなどが予定されています。
反原連は、三つの行動を中心に、「原発ゼロ☆大行動」を計画。午後1時から日比谷野外音楽堂で集会を開き、午後2時から国会請願デモが出発します。デモには全国連絡会も合流します。デモと同時並行で各省庁前での抗議行動を行い、午後5時から7時まで、この日の行動のメーンとなる国会正面前集会が開かれます。
「原発ゼロ☆大行動」は、さようなら原発1000万人アクション、脱原発世界会議、原発をなくす全国連絡会、経産省前テントひろば、再稼働反対!全国アクションの5団体が協力します。
9日
9日には、大江健三郎(作家)、内橋克人(経済評論家)、坂本龍一(音楽家)、鎌田慧(ルポライター)の各氏ら著名9人が呼びかける「つながろうフクシマ! さようなら原発大行動」が、明治公園で行われます。「原発はすみやかに廃炉作業にはいること」などを訴えます。主催は、「さようなら原発一千万署名 市民の会」。午後2時に開会し、呼びかけ人らが発言。3時15分からパレードを行います。会場では午前11時からブースが開かれ、正午からはトークライブが行われます。
11日
11日は、「さようなら原発一千万署名 市民の会」による「つながろうフクシマ! さようなら原発講演会」が、品川区のきゅりあんで午後6時半から開かれます(13年2月19日配信『しんぶん赤旗』)。
☆ 3・10 脱原発大行進 金曜デモ主催団体
首相官邸前で毎週金曜日に脱原発を訴え続けている市民グループ「首都圏反原発連合」(反原連)のミサオ・レッドウルフさんらが5日、衆院第1議員会館で記者会見し、3月10日に「原発ゼロ大行動」と題し、首相官邸前などで大規模な抗議デモ・集会を行うと発表した。同日午後1時から日比谷公園(東京都千代田区)の野外音楽堂で集会を開き、同2時から霞が関の官庁街や国会周辺をデモ行進する。
反原連はまた、夏の参院選を視野に、なぜ原発の即時廃止を訴えているのかを多くの人に知ってもらおうと、日本で稼働中の原発の数や原発にかかるコストなど、基本的な知識をまとめたリーフレットを作成。今月10日から東京都内で配り始め、反原連のホームページでも郵送申し込みを受け付けるという。
安倍晋三首相が民主党政権下でまとまった「2030年代に原発ゼロを目指す」との方針を見直すと表明していることについて、ミサオさんは「昨年の衆院選で脱原発派が負けたとは思っていない。今後もデモや集会に加えて、脱原発に関心のない人にリーフレットを配り、できる限りの運動を続けたい」と話した(13年2月6日配信『東京新聞』)。
「なぜ原発の即時廃止を訴えるか」などをまとめた首都圏反原発連合のリーフレット
呼びかけ
2013年を「原発ゼロ元年」へ!
東日本大震災および東京電力福島第一原発事故から、丸2年が経とうとしています。
私たち首都圏反原発連合は、あの過酷事故を二度と起こさず、家族や家や土地を失う人を二度と出さないことを強く望み、同じ思いを共有するみなさんの声を、誰の目にも見えるかたちにすることに全力を挙げてきました。
昨年末の衆議院議員選挙では原発推進を明言する自民党が大勝し、状況は悪化したかのようにも見えます。しかし、国民のおよそ8割が原発に反対しているという事実には変わりがありません。であるならば、今度は自民党政権に向けて、その声を届けることに全力を尽くすのみです。
政府、電力会社および経済界は、地震の直後から「再稼働しなければ電力が足りない」と盛んに喧伝してきました。しかし昨年の7月以降、実際に稼働した原発は全50基の内わずか2基であり、それすらも本当に必要とは言いがたいことが明らかになっています。2011年と比較しても稼働した原発の数がはるかに少なかった2012年は、「原子力は電力の3割を担う」という前提そのものが大きく崩れ去った年でした。
また、現在唯一稼働している大飯原発の下には、活断層が連動することがほぼ確定的となりました。こうした事実の積み重ねが、原発廃止の主張の正しさをきっちりと裏づけ、実証する結果となっています。
2013年、原発ゼロにむけて決定的な一歩を記すために、原発即時停止の大きな声を一緒に安倍政権に届けましょう!!
比谷公園野外音楽堂、永田町霞が関一帯 ※雨天決行
〈Time Schedule〉
13:00〜
集会 〈場所:日比谷公園野外音楽堂〉
14:00〜
デモ出発 〈場所:日比谷公園 集合・出発(予定)〉
17:00〜19;00
国会前集会 〈場所:国会議事堂正門前〉。その他各省庁前にて抗議を行う。
主催:首都圏反原発連合
協力:さようなら原発1000万人アクション / 脱原発世界会議 / 原発をなくす全国連絡会 / 経産省前テントひろば / 再稼働反対!全国アクション
☆ 原発なくても大丈夫 反原連がリーフレット配布 東京2カ所(13年1月11日配信『しんぶん赤旗』)
首都圏反原発連合(反原連)は10日、東京・原宿と新宿の2カ所で街頭宣伝を行い、原発ゼロを訴えるリーフレット「NO NUKES MAGAZINE(ノーニュークスマガジン)」を配布しました。若者たちの受け取りもよく、その場で読み始める人が目立ちました。
リーフレットは、「原発がなくなると停電するって本当?」など六つの疑問に答えるもの。反原連のミサオ・レッドウルフさんは、「私たちが東京で使っている電力は原発でつくられたものではなく、日本で稼働している原発もたったの2基だけです。原発に無関心でなく、一緒に考えていきましょう」と呼びかけました。
参加者も「原発は本当に必要なのか、わかりやすく書かれています」「原発ゼロは可能です。ぜひ読んで参考にしてください」と声をかけながら、通行人や信号を待つ人にリーフを配りました。
友人を待つあいだリーフレットを読んだ東京都中野区の男子高校生(17)は「(原発は)もっとたくさん動いてて、日本の電力の半分くらいをつくっていると思ってました。2基なら、省エネすれば止められるんじゃないですか」と話しました。
リーフレットを受け取った東京都杉並区の女性(22)は「分かりやすく書かれてますね。原発のことは夜のニュースで流れることくらいしか知らないので、帰ったらよく読んでみます」と語りました。
反原連がリーフレットの発行を記者会見で発表した5日以降、この日までに4万部近くの注文が寄せられています。リーフレットは反原連のホームページから注文できます。
☆ 原発ゼロ官邸前行動 寒いけど 怒りは熱い(13年2月9日配信『しんぶん赤旗』)
原発いらないとコールする人たち=8日、国会正門前
即時原発ゼロを求める首相官邸前抗議行動が8日、官邸前と国会・霞が関一帯で行われました。主催は首都圏反原発連合(反原連)。肌を刺す気温2度の寒風のなか、原発を推進する安倍晋三首相に対し、3000人の参加者(主催者発表)は「再稼働反対」「原発いらない」と熱く訴えました。
官邸前では、安倍政権の「『原発維持路線』反対」のプラカードが登場。「安倍さん。北海道で先日大きな地震があり、また原発が壊れるのではないかと心配です。だから、今すぐ原発はやめてください」とスピーチする青年も。
国会正面前では、佐賀県で玄海原発に反対している女性が「世論誘導で成り立っている原発はすぐにやめるべきです」と発言。「寒いのに怒りは熱い」と語った男性は「原子力規制委員会は原発を動かそうと準備しているが、世界一の安全基準なんてナンセンス」と訴えました。
官邸前行動にたびたび参加しているという横浜市の男性(39)は「東電が福島原発の汚染水を処理後に海に放出しようとしている。ふざけるなといいたい。これ以上汚染をひろげるな」と語りました。
☆ 原子力規制委、再稼働容認の骨子案了承 原発新基準、安全対策に「猶予期間」(13年2月7日配信『しんぶん赤旗』)
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は6日、過酷事故に対する対策を義務づける基準と、地震や津波に対する基準の両骨子案を了承しました。同委は7日から2月末の短期間ホームページなどを通じて一般から意見を募集、7月中の施行に向け、基準案の策定に入るとしています。
両骨子案は、東京電力福島第1原発事故の原因究明が終わっていないなかで事故の教訓がくみつくされたとはいえない状況でつくられたこと、その骨子案に盛られた一定の対策も「猶予期間」を認めていることなど、国民の安全を置き去りにして再稼働に“お墨付き”を与える内容となっています。
過酷事故基準骨子案は、「炉心の著しい損傷と原子炉施設から異常な水準で放射性物質の放出の可能性」がある事故を想定。持ち運び可能な電源車や消防車などの配備を基本に、放出される放射性物質を減らすフィルター付きベント(排気)施設や水素爆発防止のための水素排出設備などの常設設備と組み合わせて対応するとしています。
また、航空機によるテロ攻撃や想定を超える自然災害で炉心溶融事故を起こした場合に備えて、原子炉建屋から100メートル離れた場所に「第2制御室」を設置すること、事故時の対策拠点には、想定を超える地震に耐える免震機能、放射性物質で作業員が汚染しない機能を求めています。
地震や津波に対する基準では、原発ごとに最大規模の津波を想定した「基準津波」を策定し、基準津波が到達しない高さに施設を設置。到達する高さに施設がある場合は防潮堤などを設置し、取水路などからも流入させないことを求めています。防潮堤など津波防護施設などは、原子炉圧力容器と同じく、耐震安全上最も重要とされる「Sクラス」の耐震性を求めています。
地震対策では原発敷地内の地下構造を3次元的に把握することを求める一方、活断層の扱いについては、原子炉建屋など重要施設の真下に活断層があっても、ずれが地表に現れていなければ認めるとしています。
活断層の定義については、「後期更新世(12万〜13万年前)以降の活動が否定できないもの」と従来と同じ定義を踏襲。それが明確に判断できない場合にのみ、「中期更新世(約40万年前)以降までさかのぼって活動性を評価する」としています。
原発の新しい基準骨子案の主な内容
過酷事故対策
●火災対策でケーブルなど不燃性材料を使用
●フィルター付きベント(排気)施設
●事故時の緊急時対策所は免震機能や放射性物質の遮へい機能を要求
●航空機テロに備え、原子炉を遠隔操作で冷やす「第2制御室」を設置
●原子炉格納容器が壊れた場合に備えて、屋外放水設備を設置
津波対策
●海底地形、国内外の事例などから「基準津波」を設定
●基準津波を施設に流入させない
●流入の恐れがある場合は防潮堤などを設置。耐震性は原子炉圧力容器と同じ高い耐震性
地震対策
●活断層は後期更新世(12万〜13万年前)以降の活動が否定できないもので、必要なら40万年前以降まで調べる
●重要な建物・構築物は活断層の断層が地表に現れていない地盤に設置
●原発敷地内の地下構造を3次元的に調べる
☆ 原発ゼロへ圧力 来月10日「大行動」の詳細 反原連が発表(13年2月6日配信『しんぶん赤旗』)
首都圏反原発連合(反原連)は5日、衆院第1議員会館で記者会見を開き、3月10日に東京都千代田区の永田町、霞が関一帯で行われる「原発ゼロ☆大行動」の詳細を明らかにしました。
「原発ゼロ☆大行動」について、ミサオ・レッドウルフさんは「原発事故から2年目。気持ちを新たに、一日も早く原発なくすという志ある方に集まっていただき、大規模に政府に圧力をかけたい」と決意を語りました。
大行動は、国会議事堂正門前で午後5時から7時まで行われる集会をメーンに、1時から日比谷公園野外音楽堂で集会、2時から国会・霞が関周辺で請願デモが行われます。
国会前のほかに、首相官邸、経済産業省、文部科学省、財務省、外務省、環境省・厚生労働省、東京電力本社、Jパワー(電源開発)の前でも抗議行動を予定しています。
大行動には、「さようなら原発1000万人アクション」「脱原発世界会議」「原発をなくす全国連絡会」「経産省前テントひろば」「再稼働反対!全国アクション」が協力します。
大阪、福島、郡山、新潟の各市から往復するバスツアーも企画。料金は往復で一律4000円です。
☆ 原子力規制委
新基準づくり 原発マネーが議論誘導? 「安全要求過大」/ 対策“値切る”(13年2月6日配信『しんぶん赤旗』)
原子力規制委員会(田中俊一委員長)が、地震や津波、過酷事故への対策を義務づける原発の新しい基準づくりを急いでいます。6日にも基準骨子案を2週間の意見公募にかけます。検討に外部専門家17人が加わっていますが、うち7人が原発業界から寄付や共同研究費を受け取っています。原発マネーが議論に影響を与えていないのか懸念されます。(「原発」取材班)
寄付受けた外部専門家
規制委に提出された専門家の自己申告書によると、地震・津波の新基準の検討に関わる専門家11人のうち3人が電力会社などから寄付や共同研究費として資金提供を受けています。自己申告書は、最近3年間に原子力関連企業からの報酬や寄付、共同研究の有無とその額を記載しています。
過酷事故対策を義務づける新基準を検討している専門家では、6人のうち4人が原発業界から報酬や寄付などを受けています。本紙の調べで、自己申告書分以外も含め、原子炉メーカーの三菱重工などから、4人で少なくとも約6000万円に上ります(既報)。
1月31日、過酷事故対策の基準骨子案をとりまとめる「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」の13回目の会合が開かれました。
「過大な要求ではないか」。山本章夫名古屋大学教授が繰り返しました。山本氏は、電源車や消防車など移動可能な設備要求の項目に対しても「合理的な代替措置も認めるべきだ」と述べ、事業者が選択できるようにすべきだとしました。
これは、25日に開かれた専門家会合の場で、電力会社が目的に応じて配備内容を考えるのが適切だと、過酷事故対策を“値切る”よう求めていた内容と同じです。
自己申告書で、原発マネーが最も多い山本氏。原発関連企業3社から、報告義務のある年50万円以上の報酬をそれぞれ4年間、合計600万円以上受け取っています。さらに3社からの寄付、5社からの委託研究を合わせると資金提供は3314万円以上。自己申告書にもかかわらず、三菱重工の委託研究は資金額が黒塗りで隠されていて不明なため、合計額はさらにふくらみます。
同じ専門家会合のメンバーでは山口彰大阪大学大学院教授が、原発関連企業から報酬や寄付、共同研究費として1300万円以上、阿部豊筑波大学教授が寄付など900万円、杉山智之日本原研安全研究センター研究主幹が約300万円の資金提供を受けています。
地震・津波の対応でも “骨抜き”要求を採用
「地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム」の会合でも原発マネーを受けている専門家から、基準を厳しくしないよう求める発言が出ました。1月22日に開かれた第7回会合では、活断層と原発の位置に関する基準について、こんなやりとりがありました。
規制委の事務局案は、重要な建物や構造物は、真下に活断層が無いことが確認された地盤に設置するが、条件によっては認めるというものでした。
谷和夫防災科学技術研究所研究員は「断層のずれに対処する技術は進んでいる」として、新幹線などで断層に対処する技術が次から次へと開発されていると強調し、事務局案を支持しました。
これに反発したのが和田章東京工業大学名誉教授です。強い口調で「いいかげんなことを言っちゃいけない。新幹線のトンネルが断層に耐えられるようになっているんですか。半径30キロ圏に住んでいる人たちが何年も元に帰れないことと(新幹線とを)同じにしちゃいけない。無責任だ」と述べ、条件次第で直下の活断層を認める案の削除を求めました。
谷氏は、事務局案の「活動性が無いことを確認」の表現に対しても注文。「ものすごく事務として大変」と述べ、「活動性が認められる場合は(建物などを)置かない」の表現に変更することを求めました。
結局、意見の隔たりは埋まらないまま、29日の第8回会合に提出された事務局案は「将来も活動する可能性のある断層等の露頭が無いことを確認した地盤に設置」と、当日欠席し、意見書を送ってきた谷氏の主張を取り上げた内容に沿ったもので、それが最終的なとりまとめとなりました。
谷氏は、9電力会社の寄付で設立された電力中央研究所出身で、前職の横浜国立大学教授の時に同研究所と200万円の共同研究をしています。さらに300万円の共同研究を契約していましたが、現職になった昨年10月以降は実施していないと自己申告書に記載しています。
規制当局が電力会社の「とりこ」と指摘され、電力会社への規制強化や監視が骨抜きになった反省から出発したはずの原子力規制委員会。疑念を払しょくする抜本的な改革はされていません。
☆ 諮問会議 危うい中立 原発推進派2人が兼務(13年2月7日配信『東京新聞』)
国の経済政策の大方針を決める「経済財政諮問会議」のメンバーに、企業経営者が現職のまま名を連ねていることで、自社の利益を求めて国民全体の利益と矛盾する「利益相反」の問題が浮上している。原発推進の可否が国政の大きな焦点となる中で、原発メーカーである東芝の佐々木則夫社長と、東京電力社外取締役である三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長が諮問会議の議員を兼務する。こうした態勢のまま国民全体を考えた客観的な議論ができるのか、学識者らから疑問の声があがっている。
企業トップが経財諮問会議議員を兼務することの問題点は同会議の発足当初から指摘されてきたが、安倍政権下で、民間経営者の枠で就任した二人がいずれも原発、電力産業の経営者であることで問題点が鮮明になった。
佐々木氏は東芝で原発の製造部門の技術者や責任者として長く勤務した。原発の維持推進は自社の利益に直結する。
一方、小林氏は今年一月、記者団に「諮問会議でエネルギー政策をテーマの一つにしたい」とした上で「いかに原発を再稼働するかだ」と語っており、原発再稼働に前向きだ。
ともに原発を推進することが東芝と東電の利益には貢献するため、諮問会議のエネルギー政策についての論議が偏る懸念がある。
ほかの公的な委員会などでは、利益相反を防ぐ仕組みを設けている例もあり、日銀の金融政策を決める金融政策決定会合の審議委員も民間から選ばれるが、兼職はできず、利益相反を防ぐ規定もある。選挙を経ていない民間人が国民の生活を左右する重大な政策を決定するため、身を置いていた業界と距離を置くための仕組みだ。
これに対し、経済財政諮問会議の民間議員は兼職が禁じられておらず、諮問会議の根拠法である内閣府設置法も含め、利益相反を防ぐための明確な規定はない。法政大学経済学部の竹田茂夫教授(経済理論)は「諮問会議は財政や政策の骨格を決める重大な権限を持っており、選挙を経ていない民間議員には、国会議員より厳しい中立性が求められる」と指摘。「外部から疑いの目を向けられないような仕組みが必要だ」と訴える。
東芝と三菱ケミカルホールディングスの広報は「まだ取材に応じる態勢になっていない」として、現段階では佐々木、小林両氏への個別取材を受け付けていない。
<経済財政諮問会議> 政策と財政の権限を各省庁から首相官邸に移すため、内閣府設置法に基づいて2001年に発足した首相の諮問機関。毎年6月ごろに経済政策と予算編成の方向をまとめ、政府の「司令塔」と呼ばれる。議長は首相で、議員10人の4人以上を民間人にする決まりで、学識者2人と経済人2人が就くのが慣例になっている。民主党が政権に就いた09年から休眠状態になったが、安倍首相が復活させた。
☆ 原発新基準 “退場”迫る根拠にしよう(13年2月7日配信『東京新聞』―「社説」)
原子力規制委員会が、原発の新たな規制基準の骨子案を決めた。7月までに詳細を詰める。勘違いしていけないのは、基準は再稼働のためではなく、危ない原発を排除するのが目的ということだ。
思い出してみよう。東京電力福島原発事故を検証した国会事故調査委員会の報告書はこう断じた。
「組織的、制度的な問題が、このような『人災』を引き起こした。この根本原因の解決なくして再発防止は不可能である」
組織の問題とともに法的、制度的な欠陥、すなわち津波や過酷事故につながる電源喪失への備えといった最も重要な対策が、曖昧なまま放置されたことが根本原因と指弾したのだ。
フクシマの反省に立てば、電力会社の自主的な取り組みに委ねていた安全対策を、法律で義務化する今回の規制基準は必然だった。 ただ、新基準はあくまでも「最低限の備え」であって、これを満たしさえすれば安全が約束されるものではない。原発再稼働を急ぎたい自民党内には、新基準が“再稼働の免罪符”と受け取る向きもあるが、そうであってはならない。基準を厳格に運用すれば、再稼働は容易ではないはずだ。
例えば、放射性物質をこし取るフィルター付きベント(排気)設備や免震重要棟のような「緊急時対策所」はほとんどの原発で整備されていない。燃えない素材を義務づけられた電気ケーブルにしても、原子炉内で総延長数千キロになるといわれ、交換には年単位の作業となるとみられる。
活断層の調査も、従来の「過去13万年」以降から必要に応じて「過去40万年」に広がり、断層上の重要設備の設置を禁止するなどハードルは高まる。新基準は、既存の原発施設にも反映させる「バックフィット」制を義務づけるので、稼働中の大飯原発3、4号機も停止は避けられない。
費用は一発電所当たり数百億円とも予想される。コストや時間を考えれば「割が合わない」とみるのが普通だ。しかも、いくら対策を重ねても原発が抱えるリスクはゼロにならないのである。
懸念されるのが、規制委が可能性を示した「猶予期間」である。緊急時対策所などの整備には猶予期間を設ける方針だが、そうするのであれば代替の安全対策とセットでなければ許すべきではない。
猶予が乱発され、基準が骨抜きともなってしまえば、それこそフクシマの元凶だった「規制の虜(とりこ)」の再現である。
☆ 原発新「安全」基準 事故踏まえずに安全は語れぬ(13年2月8日配信『しんぶん赤旗』―「主張」)
東日本大震災の発生から間もなく1年11カ月―。地震と津波に加え東京電力福島第1原発の事故で打撃を受けた被災地は、いまだに生活の再建もままならぬ深刻な状況です。とりわけ福島原発からの放射能漏れで住み慣れたふるさとを追われた被災者は深刻です。被災者への支援と復興対策を抜本的に強化することが不可欠です。
こうしたなか政府の原子力規制委員会(田中俊一委員長)は原発の「新安全基準」をまとめ、国民から意見募集を始めました。原発事故の原因究明も収束の対策も尽くされていません。事故を踏まえず安全を語ることはできません。
国民の意見反映の機会
原子力規制委員会が意見募集(パブリックコメント)を始めた「新安全基準」は設計基準、炉心の損傷などシビアアクシデント対策、地震や津波に対する対策―の3本柱です。それぞれ専門家などがまとめた骨子案をもとに今月中に意見募集し、条文にまとめ改めて意見を募集、最終的には7月までに決定する段取りです。骨子案だけで200ページ近い膨大なものですが、意見募集は国民の意見を反映する重要な機会です。
いまだ収束しない福島原発事故は、原発は未完成の技術であり、いったん事故が起きればコントロールできなくなる危険性があることを証明しました。絶対安全な原発はありえず、事故を機に「即時原発ゼロ」を求める運動と世論が国民の間で大きく盛り上がっているのは当然です。
にもかかわらず原子力規制委員会の「新安全基準」は、新たな設計基準に合致する原発なら、シビアアクシデントや地震・津波の対策を講じることで安全が確保できる立場です。原発からの撤退を決断しても廃炉までには長い期間がかかりますが、停止中の原発の再稼働や原発の新増設にお墨付きを与えるために拙速な「安全基準」づくりがおこなわれるとすれば本末転倒です。
実際、規制委が示した「新安全基準」の骨子案には問題が山積しています。福島原発事故は地震と津波で電源が喪失し、原子炉が冷却できなくなり、炉心が溶融して、格納容器の破損や建屋の爆発などで放射能漏れを起こしました。「軽水炉型」といわれる現在の原発の致命的欠陥ですが、新設計基準でもその基本は変えません。消防車や電源車など代替的な設備を強化するだけでシビアアクシデントは防げません。電力業界は常設の代替設備がすべて整わなくても運転を認めるべきだとの立場を表明してきましたが、骨子案はそれに沿った内容です。こんな「安全基準」では安全を保証しません。
新たな「安全神話」許さず
地震や津波対策も問題だらけです。原発の重要設備は活断層の上には建設できませんが、「基準」は活断層の定義を「12万〜13万年以降に動いたもの」という従来の定義を踏襲しています。しかも活断層は地表に「露頭」が現れていなければ、その上に原発の設備を設置できるとしました。地中に活断層が隠れていてもいつ動くかわかりません。活断層の対策が前進しているなどというのは、原発事故の深刻さを見ないものです。
原発から撤退の決断をこそ急ぐべきです。「原発ゼロ」の立場を抜きにした「安全基準」づくりは、新たな「安全神話」そのものです。
☆ 東電:虚偽理由で原発視察拒否 国会事故調に「真っ暗」(12年2月7日配信『毎日新聞』)
東京電力が、福島第1原発1号機の現地調査を申し込んだ国会事故調査委員会に対し、原子炉建屋内が実際には光が差しているのに「真っ暗」と虚偽の説明をしていたことが分かった。国会事故調は、緊急時に原子炉を冷却する「非常用復水器」が地震で壊れた可能性があるとして現地調査を計画したが、この説明で断念した。事故調の田中三彦元委員は7日、調査妨害だとして、衆参両院議長らに再調査を求める要望書を提出した。
国会事故調関係者によると調査の中で、下請け作業員が、11年3月11日の地震直後に1号機原子炉建屋4階で「水が噴出していたのを見た」と証言。4階には非常用復水器の配管などがあり、国会事故調の事故原因究明チームのメンバーは、非常用復水器が地震で破損した恐れがあるとみて、4階を現地調査する方針を決め、東電に申し入れた。
これに対し、東電の玉井俊光・企画部長(当時)は12年2月28日、国会事故調で事故原因の究明を担当する田中元委員らメンバーを訪問。1号機原子炉建屋4階を撮影した映像を見せた。映像では建屋内に光が差していたが、玉井部長は撮影日が、建屋が放射性物質の飛散を防ぐためのカバーで覆われる前だったとしたうえで「現在はカバーに覆われて真っ暗」と説明。放射線量が高いこともあり、建屋内に入って調査するのは危険であることを強調したという。
東電によると、映像の撮影日は11年10月18日で、1号機原子炉建屋がカバーで覆われた同月14日の4日後だった。照明も10月28日には使用可能になっていた。東電広報部は玉井部長の説明について「カバー設置前だから明るく、設置後は真っ暗というのは事実誤認だった。正確に確認しないまま答えた。でも意図的にやったことではない」としている。
国会事故調は、昨年7月に報告書をまとめた後、解散している。
☆ 虚偽説明 国政調査権の妨害 笠井議員 東電社長ら喚問要求(13年2月8日配信『しんぶん赤旗』)
日本共産党の笠井亮議員は8日の衆院予算委員会で、東京電力が国会事故調査委員会の福島第1原発の現地調査を虚偽の説明で妨害していた問題を取り上げ、「国政調査権に対する妨害行為で極めて重大だ」と批判。東京電力の渡瀬直己社長らの証人喚問を要求しました。
笠井氏は、国会事故調の委員だった田中三彦氏が「国会と国民を欺くものであり、到底許されるものではない」として事実確認と再調査を求める要望書を衆参両院議長と経済産業相に提出していることをあげ、「要請にどう応えるのか」とただしました。
茂木敏充経産相は「東京電力が何らかの意図をもって虚偽の説明をしたとしたら断じて許されない。東京電力に対し事実関係を明らかにし、報告するよう指示を出した。現地でさらなる調査が行われることになれば最大限協力するよう指導している」と答えました。
笠井氏は「国会事故調は国会の国政調査権を背景にして事故調査を行う権限をもっていた」と強調。「当然、国会として真相究明と再調査を行うなどの対応が必要だ」と強調しました。
☆ 東電虚偽説明―国会が福島原発調査を(13年2月8日配信『朝日新聞』−「社説」)
耳を疑うような、愚かな行為が明らかになった。
東京電力が昨年2月、国会事故調査委員会に虚偽の説明をし、福島第一原発1号機への現地調査を断念させていた。照明があるのに「真っ暗で危険」と誤った情報を伝えたのだ。
津波ではなく地震の揺れそのもので重要機器が壊れたのではないか。調査は、その真偽を確かめる決め手とみられていた。
東電広報部は「何らかの意図を持って虚偽の報告をしたわけではない」というが、とても納得できない。調査に協力するつもりで状況を調べれば、少なくとも明るさには問題がないことがすぐにわかったはずだ。
虚偽説明を受けた事故調の元委員はきのう、現地調査と東電への聞き取りを求める要望書を衆参両院議長あてに出した。
事故調はすでに解散したが、国会には1月末、衆院原子力問題調査特別委員会が設置されている。国会の権威が軽んじられたことを重く見て、国政調査権を使ってでも、徹底的な真相究明を進めるべきだ。専門家を加えて、いま一度、事故調をつくることも検討すべきだろう。
この問題は、事故の再発防止策とも密接にかかわる。
原子力規制委員会は今、原発の新安全基準をつくる作業を進めている。地震の揺れそのもので重要機器が壊れたかどうかは、地震対策のあり方を判断する重大なポイントになる。
政府、国会、民間の三つの事故調のうち、政府事故調は主に東電の聞き取りを基に「重要機器の機能は地震では損なわれなかった」とした。民間事故調は東電の協力を得られず、直接的な事故原因には迫れなかった。
国会事故調は違った。緊急時に原子炉を冷やす「非常用復水器」が揺れで壊れた可能性があると現地調査を求めた。それが虚偽説明で阻まれたのだ。
このままでは、新安全基準ができても大きな疑問を残すことになりかねない。
東電はまず、自ら事実関係を詳細に明らかにすべきだ。そのうえで、国会の調査が始まれば全面協力する必要がある。
東電は原発事故以前にも、トラブル隠しや政府への虚偽報告を繰り返してきた。
事故後は、社内のテレビ会議映像を部分公開するなど、説明責任で前進も見られる。しかし、安全への改革はまだ不十分といわざるを得ない。
事故原因の解明は公益中の公益である。巨額の税金で経営支援を得ながら、そこに思いをいたせないのでは、とても公益事業を名乗れない。
☆ 原発事故の再調査は当然だ(13年2月8日配信『日経新聞』―「社説」)
福島第1原子力発電所事故の原因究明にあたった国会事故調査委員会に対し東京電力が誤った説明を行い、その結果、事故調が一部の現地調査を思いとどまっていたことが明らかになった。
東電は調査を妨げる意図はなかったと釈明している。しかし事故調に誤った情報を与え、結果的に調査が行き届かなかった責任は重い。国会事故調の元委員が要望する追加的な調査を受け入れ、事故原因などの徹底解明に協力するのは当然だ。
国会事故調は昨年2月、福島原発1号機の非常用復水器が地震の揺れで壊れていた可能性があるとみて、非常用復水器が設置してある1号機4階に立ち入って調べることを要望した。これに対し東電は、4階は照明がないため暗く、放射線量も高いなどの理由を挙げて調査が困難であると説明、事故調は立ち入りを断念した。
しかし調査要望があった時点ですでに4階には仮設の照明が設けられ、少なくとも「真っ暗」との説明は誤りだった。東電は説明した担当者が4階部分の明るさについて「誤認していた」としている。また明るさのほかにも放射線や建物の損壊状況など、調査が危険だと判断する材料があったと弁解している。
地震の揺れで原発の重要な機器が破損していたかどうかをめぐり、国会と政府の事故調の見解が分かれている。非常用復水器は原因究明でカギを握る装置のひとつだ。事故原因をあいまいにしたままでは、原発への国民の不信の念はなかなか解けない。事故の教訓を取り入れた安全対策の実効性にも疑問符がつきかねない。
国会事故調は昨年7月に調査報告書を国会に提出し解散したが、元委員は改めて現地調査を求め、衆参両院議長と経済産業相に要望書を出した。国会などは実現を後押しし、東電はそれに協力すべきだ。東電の対応は情報を出し渋っているととられても仕方がない面がある。情報公開の重要性をいま一度自覚してもらいたい。
☆ 「嘘(うそ)が嘘を生む」(13年2月8日配信『東京新聞』―「筆洗」)
福島第一原発の周辺で、イノブタが急増しているらしい。野生のイノシシと家畜のブタの交配が進んでいるのでは、というのが地元の獣医師たちの見立てという
▼ イノブタはイノシシに比べ、繁殖力が四、五倍も強いそうだ。増え続ければ、田畑が荒らされる。福島県が実態調査に乗り出そうとしているが、捕獲にあたる猟友会員の多くも避難してしまっていて、調べたくとも調べられない
▼ 「嘘(うそ)が嘘を生む」と古代ローマ人が言ったように、嘘も増殖する。一つの嘘を守るために別の嘘を…ときりがない。どうやら東電の嘘の繁殖力は、イノブタ並みらしい
▼ 「あんな大津波は想定外」と言っていたが、実のところ大津波対策の必要性は分かっていた。東電は、国会の事故調査委員会にも嘘をついていたという。第一原発内部を調べようとした事故調に「真っ暗で危険」と説明していたが、実は薄明るく照明器具もあった
▼ 事故調が調べようとしていたのは、非常用の冷却装置が東電の主張とは違い、地震で壊れたのではないか、という疑問だ。事故を検証して、教訓を得る機会が潰(つぶ)された。既に虚構と化した「原発安全神話」を生き永らえさせるための嘘が、増殖し続けているのだろう
▼ 東電は今年「福島復興本社」を発足させた。だが、まず復興すべきは、自らの信用なのだということが、どこまで分かっているのか。
☆ 東電の虚偽説明 真相究明を拒むのか(13年2月9日配信『東京新聞』―「社説」)
東京電力が調査を妨害したと疑わざるを得ない。国会事故調査委員会に虚偽の情報を伝え、福島第一原発1号機の現地調査を諦めさせていた問題である。国会は真相究明に向けて調査を尽くさねば。
事故調の委員を務めた元原子炉設計技術者の田中三彦氏が記者会見で経緯を明らかにした。
事故調は昨年2月、原子炉を緊急時に冷やす非常用復水器が津波ではなく地震の揺れで壊れたのではないかとみて、1号機建屋内の現地調査を求めた。
これに対して東電は、建屋が放射性物質の飛散防止カバーで覆われていて「真っ暗で危険だ」と説明し、同行を拒んだ。結果的に現地調査は実現しなかった。
ところが、実際には建屋内には太陽光が差し込み、照明が取り付けられていて「真っ暗」ではなかったのだ。東電が昨年公開した現場のビデオ映像をチェックした田中氏が虚偽に気づいたという。
東電は調査を妨げる意図はなかったと釈明した。一方で、建屋は大破して足場が悪いし、放射線量が高いので現場が危険だったのは間違いないと弁解した。
しかし、東電には事故調に協力する気があったのか。安全に調査できる環境を自発的に整える努力をすべきだったのではないか。
事故調は昨年7月に調査報告書をまとめて解散した。だが、田中氏は「国会が愚弄(ぐろう)された」として、あらためて建屋内の調査を衆参両院議長に要望した。
国会は国政調査権を発動してでも応えねばならない。東電が証拠を隠滅する恐れも否めない。事故調の再設置も視野に入れ、調査の在り方を急いで検討すべきだ。
原発の重要機器が地震で壊れたのか、津波で壊れたのか。その原因の違いは今後の安全対策を左右する。原発の新しい規制基準を作っている原子力規制委員会の判断に重大な影響を与える。
1号機の重要機器の一つの非常用復水器について、政府事故調は東電の報告に寄り添うように津波で壊れた可能性を示した。これとは対照的に、国会事故調は建屋内の水漏れの目撃証言を重く見て、地震で壊れた可能性があると現地調査を求めたわけだ。
原因究明は歴史的な使命であり、究明なき規制基準などあり得ない。東電は猛省し、国会が調査に動けば全面協力すべきだ。
原子力規制庁幹部が福井県の敦賀原発の断層調査情報を漏らすなどたがが緩んでいる。事故の痛みを決して忘れてはならない。
☆ 東電検証妨害 事故調査を継続せよ(12年2月9日配信『毎日新聞』―「社説」):
東京電力福島第1原発1号機の重要機器が津波以前に地震で壊れていたのではないか。事故原因にかかわる疑問に答えるための検証作業を東電が妨害していたことがわかった。
昨年2月、国会事故調査委員会が現地調査を決めた際に、実際には光が差している原子炉建屋が「真っ暗」だと主張し、調査を断念させていた。迷って放射線量の高いところに踏み込む恐れなども強調し、調査に同行することを拒んだという。今さらながらに驚く話である。
東電は、「意図的ではない」と釈明しているが、信じにくい。百歩譲って東電が言うように確認不足だったとしても、それはそれで大きな問題だ。
これほどの大事故を起こしたのだから、原因究明は何ものにも勝る優先事項である。国会事故調は国民に成り代わってそれを調べる機関なのだから、できる限り真相に迫れるよう、東電が最大限の努力をするのは当然のことだ。
調査要請があれば、現場の状況をきちんと把握した上で、危険を回避しつつ調査ができるよう取り計らう。そうした常識的な行動を取っていれば、「真っ暗」と思い込むはずもない。いずれにしても、国民に対する不誠実な態度というしかない。
検証が妨害されたのは1号機の原子炉建屋の4階に位置する「非常用復水器(IC)」の地震による破損の有無だ。非常時に電源なしで炉心を冷却する装置だが、結果的にうまく働かなかった。
東電は地震による損傷を否定している。しかし、国会事故調の委員によれば、津波以前に同じ4階で出水があったとの証言があり、地震によりICの配管などが破損した可能性は否定されていない。
地震で機器が破損したか否かは、今後の原発のリスク評価や安全基準にもかかわる。現在、原子力規制委員会が原発の新たな安全基準の策定を進めている。地震による破損があったとすれば、揺れに対し、より厳重な対策が求められる。
国会は改めて検証作業を行うべきだ。ICの破損に限らず、福島第1原発の過酷事故の原因究明は終わっていない。国会事故調も政府の事故調も解散しているが、検証作業は続けなくてはならない。
衆院には先月、常設の「原子力問題調査特別委員会」が設置されている。ここを中心に、原因究明作業を継続してもらいたい。安全規制を担う原子力規制委にとっても、原因究明は欠かせない作業だ。
福島第1原発の事故原因をうやむやにすることは、日本にとっての損失にとどまらない。国際的な観点からも損失であり、許されない。
☆ 東電虚偽説明 罪深い真相究明妨害だ(13年2月9日配信『琉球新報』−「社説」)
東京電力福島第1原発事故をめぐって、国会が設置した事故調査委員会に対し、東京電力が1号機原子炉建屋内について「現場は真っ暗」などと事実と異なる説明をしていたことが分かった。国会事故調は当時、建屋内の重要設備の地震による損傷の有無を調べようとしていたが、事実でない説明によって現地調査を断念している。結果的に重要な事実解明の機会を阻んでおり、東電の責任は重い。
国会事故調が立ち入ろうとしたのは建屋4階だ。ここには非常用復水器が設置されている。同事故調はこの復水器が津波到達前の地震発生時に壊れていた可能性を指摘している。一方、東電は報告書で「安全上重要な主要設備に地震による損傷は確認されなかった」と真っ向から対立した見解を示す。同事故調が現地調査にこだわる理由はここにある。
事故調の調査要望に対し東電は「1号機には建屋カバーがかかり、照明もない。パニックを起こしかねないほど真っ暗。作業員の被ばくを避けるため同行はできない」と説明している。しかし実際には水銀灯の照明が設置されており、カバーも日の光を通すもので、「真っ暗」は事実に反していた。
東電は「現場の危険な状況を説明する中で誤りがあった。意図的に虚偽の説明をしたわけではない」とするが、その言葉を誰が信じるか。事故原因を探る核心部分の設備を事故調の目に触れさせない、隠ぺいとしか思えない。
原子力安全委員会は2006年、耐震基準の旧指針を改定し、保安院が全国の電力事業者に耐震安全性評価を求めている。東電はこの時、最終報告期限を09年6月と届けていたにもかかわらず、評価報告を16年1月に先送りした。
さらに東電は耐震補強工事が必要と認識していたが、1〜3号機の工事をしていなかった。事故調の調査で地震による重要設備損壊が確定すれば、耐震対策を放置していた東電の責任はさらに重大となる。責任逃れのために事実と違う説明をしたと批判されても仕方ない。
地震の揺れによって原発の重要設備が損傷していたかについては国会と政府の事故調でも見解が分かれている。実際に復水器の状態を調べることは真相究明で欠かせぬ作業だ。事故原因をあいまいにしないためにも元委員が求めている現地調査を実現すべきだ。
☆ 東電虚偽説明 釈明できぬ背信行為だ(13年2月9日配信『北海道新聞』−「社説」)
東京電力が、福島第1原発事故の原因を究明していた国会事故調査委員会に虚偽の説明を行い、現地調査を断念させたことが明らかになった。
「事故原因は想定外の津波」と主張する東電に対し、国会事故調は地震による重要機器損傷の可能性を指摘した。これを確認するために不可欠の調査だった。
東電は「意図的に虚偽の説明をしたわけではない」と釈明しているが、こんな言い訳は通用しない。
津波到達前に地震で壊れたとなれば、東電だけでなく全原発の耐震性を抜本的に見直すことになる。
業界の利益を優先するあまり、当初から固執した津波原因説を覆しかねない調査の妨害を策した―。そう疑われても仕方あるまい。
虚偽説明を受けた事故調の元委員が批判するように、まさに「国会を愚弄(ぐろう)した」やり方と言えよう。
未曽有の大惨事の原因特定にかかわる問題である。事故の教訓をくみ取るためには、決してゆるがせにしてはならない。
国会は元委員の再調査の要望を受け入れ、徹底的な解明に直ちに着手すべきだ。
国会事故調は昨年2月、福島第1原発1号機の原子炉を緊急時に冷やす非常用復水器が地震で壊れた疑いを持ち、東電に立ち入り調査を申し込んだ。
東電側が「現場は真っ暗」などと危険を強調したため、事故調は調査をあきらめたが、実際には既に照明が設置されていた。
国会、政府など複数の事故調が設けられ、地震の影響について互いに食い違う見解を示したことが、国民を戸惑わせている。
この疑問を検証するほとんど唯一の機会を意図的に妨げたのであれば、これほど悪質な行為はない。
原子力規制委員会は、新たな原発の安全基準を策定している。新基準の柱の地震対策に事故の知見を反映させるのは当然だ。
規制委は今回の問題を放置せず、自ら東電に事情を聴き、現地調査を実施すべきだ。
福島第1原発には放射線量の高い場所が多く、原子炉内の状態も把握できていない。
国会事故調は、民間有識者からなる独立調査機関を設置し、究明作業の続行を提言した。
地震による機器損傷説を退けた政府事故調も、放射線量が下がった段階で詳細な実地検証を必ず行うよう政府に求めている。
国会も政府も、この課題を誠実に実行する責務がある。事故の検証がいまだ途上にあることを忘れてはならない。
☆ 見るなの座敷(13年2月9日配信『北海道新聞』−「卓上四季」)
山仕事をしていた若者が竹やぶの奥で偶然、家を見つける。そこには女性が住んでいて、若者は一緒に暮らし始める
▼ ある日のこと、女性は「13番目の座敷には入らないでね」と言い含めて外出。でも退屈した若者は部屋を順にのぞいてしまう。禁じられた座敷のふすまを開けると、一羽のウグイスが卵を産んでいた…
▼ 昔話「うぐいす姫」。タブーを破った男は幸せな生活を失う。福島県に伝わる民話だが、類似の物語は民俗学で「見るなの座敷」に分類され、全国各地に残る
▼ 東京電力の担当者は民話の語り部だったのか。福島第1原発1号機の建屋内調査を求めた国会事故調に対して、「真っ暗で、道に迷えば恐ろしい高線量地域に出くわしちゃいます」(朝日新聞)と立ち入り断念を説得したそう
▼ 「見るなの建屋」の民話を聞かされているかのようだ。実際は照明もあって明るかったというからあきれる。現場には緊急時に原子炉を冷やす非常用復水器があり、地震の揺れによる損傷の可能性も指摘されている。東電は「意図的に虚偽の説明をするつもりはなかった」と釈明するが、「見せたくないから隠した」と言われてもしかたあるまい
▼ 夢のような暮らしから、日常に引き戻される「見るな―」の物語は「つらくても目を覚ませ」と教えているようにも思える。“安全神話”が崩壊した神殿を秘匿して何になろう。
☆ 東電の虚偽説明/再調査実施は国会の責務だ(13年2月9日配信『河北新報』−「社説」)
福島第1原発事故の調査をめぐって、東京電力が国会の事故調査委員会に事実と異なる説明をしていたことが発覚した。
虚偽の説明によって現地調査が不可能になったことから、当時の事故調のメンバーが7日、国会に「調査を妨害された」と再調査を求めた。
法律によって特別に設けられた国会事故調は、いわば国会から調査を全面委託された組織。その重みを考えれば、でたらめな説明によって調査ができなかったことは看過できない。国会は再調査の実現に向け、すぐさま行動を起こす必要がある。
事故調が現場での調査を求めたのは、原子炉内の蒸気を水に変える第1原発1号機の非常用復水器(IC)。蒸気が動力源になるため、津波で全電源が喪失した事故時には唯一の冷却手段になった。
ICについて事故調は地震の揺れによって配管などが壊れ、水が漏れた可能性を指摘していた。津波到達の前、IC用の水を入れたタンクがあった原子炉建屋4階で出水が起きたことなどを根拠にしている。
緊急時の冷却機能などを担う重要機器が揺れによって壊れたか壊れなかったかの確認は、重大な意味を持つ。耐震安全性に直結するからだ。
東電は一貫して「損傷はほとんど認められない」と重要機器に対する揺れの影響を否定し、事故調の見解と対立していた。
このため事故調は現地調査を申し入れたが、東電から昨年2月、「建屋にカバーが設けられた上、照明もなく真っ暗」などと伝えられて断念したという。
ところが、実際には日光が入るし照明もあったことが分かったため、事故調のメンバーが「東電は国会を愚弄(ぐろう)した」と反発する結果になった。
東電は「担当者の誤認」であって意図的ではないと釈明しているが、結果として虚偽の説明をしたことは明らかだ。
東電には「原発トラブル隠し」の過去がある。当時の悪質な隠蔽(いんぺい)体質は払拭(ふっしょく)されていたのか。仮に故意でなかったとしても、緊張感と責任感の欠如を問われる事態だ。
現場の状況を十二分に確認してから説明しなければならなかったことは明らかであり、事故調のメンバーから「虚偽説明による調査妨害だ」と非難されても致し方ない。
国会事故調は必要なら、国政調査権を行使することも認められていた。国権の最高機関が「全権委任」して調査に当たらせた組織であり、国会は自らの問題として虚偽説明の経過を調べなければならない。
現場に残る放射能によっては立ち入りの時間が限られるかもしれないが、そうであってもICや周辺機器の調査を早急に実施して、揺れの影響の有無を確認すべきだ。
津波以前に揺れによって重要機器が損傷していたとしたら、その影響は福島第1原発にとどまらない。全原発の耐震安全性見直しにつながりかねず、決して軽視できない問題だ。
☆ 【東電の虚偽説明】現地調査は国会の義務だ(13年2月9日配信『高知新聞』−「社説」)
まさに、国会軽視も甚だしい、あきれた行為だ。
福島第1原発事故をめぐり、東京電力が国会事故調査委員会に事実と異なる説明をし、調査断念につながっていたことが分かった。
昨年3月、国会事故調が1号機の非常用復水器(IC)と呼ばれる重要設備の現地調査をしようとした際、東電は「照明もなく、パニックを起こしかねないほど真っ暗」などと説明。だが実際は薄日が入り、既に水銀灯も設置されて使用可能な状態だった。
事故調の元委員で科学ジャーナリストの田中三彦氏が明らかにした。「虚偽説明で調査を妨害された」として、衆参両院議長と茂木経済産業相にICの調査も文書で要請した。
東電は「意図的に虚偽の説明をしたわけではない」と釈明している。しかし事実と異なる説明をして、調査を断念させた責任は重大だ。
ICは非常時に原子炉を冷やす重要な設備だ。事故調は原発が津波に襲われる前に、地震による揺れでICや関連配管が壊れた可能性があると見ている。
東電は、急激な温度低下のために運転員がマニュアルに従って手動で止めたと説明した。しかし、事故調は報告書で「地震直後にIC配管のそばにいた複数の作業員が、原因不明の水漏れを目撃している」として東電の主張を退けた。
この問題は事故の原因究明の核心部分だ。しかし現地調査が実現しなかったために、国会事故調と政府の事故調で判断が分かれている。
国会事故調は既に解散したが、その提言を受けて、先月、衆院に原子力問題調査特別委員会が設置された。事故原因をあいまいにしないために、田中氏らの要請に応じて現地調査を行うのは、事故調を設置した国会の義務といえる。
地震の揺れによる重要設備の損傷が見つかれば、耐震基準を見直すなどの影響が出よう。現在、原子力規制委員会が策定中の新安全基準にも関わる話だ。専門家も交えた早急な調査を求めたい。
調査には東電も大いに協力すべきだが、なぜいまごろになってこんな話が出てくるのか。情報を出し渋っているとしか思えない。田中氏が言う「国会を愚弄(ぐろう)した」行為に、厳正な調査で応えてほしい。
☆ 仏が原発事故初試算 福島と同規模 避難民10万人
被害額55兆円(13年2月9日配信『しんぶん赤旗』)
フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は6日、同国で福島原発事故と同規模の事故が起きた場合、避難民が10万人に達し、被害額が4300億ユーロ(約55兆円、1ユーロ=約127円)で国内総生産(GDP)の20%に相当するとの試算結果を発表しました。同国の公的機関が原発事故を想定した試算を公表するのは初めて。IRSNのジャック・レピュサール所長は、「重大事故が起こった場合は深刻な結果になるが、これに対応しなければならない」と会見で述べました。
国際原子力機関(IAEA)は原子力事故の評価基準として全7段階の国際原子力評価尺度(INES)を定めています。IRSNは、福島事故やチェルノブイリ原発事故(1986年)と同じ「レベル7」の事故が発生した場合の影響は「破局的」であり、「国家に深く永続的な爪あとを残す」と指摘。避難民は10万人に達し、輸出や観光客は減少、汚染は長期にわたり、隣国にも悪影響を及ぼすとしています。
また、米スリーマイル島原発事故(1979年)より1ランク高い「レベル6」の事故が発生した場合、被害額は1200億ユーロにのぼると試算。放射性物質による汚染地域からの避難民は1万人に達するとしたものの、「対応は可能」だとしています。
一方、レピュサール所長は、フランスで大規模な原子力事故が起きる可能性は「極端に低い」としたうえで「これらの試算は、政策決定者が予防策にかかるコストを将来的な展望に組み入れる手助けになる」と述べました。
同国でこれまでに起きた最大の原子力事故は、1980年に発生したサン・ローラン・デ・ゾー原発での炉心溶融事故で、INESでは「レベル4」に分類されました。
現在58基の原子炉を持ち、電力生産量の約75%を原発に依存する同国は、隣国ドイツなどとは異なり「脱原発」には否定的です。
オランド大統領は福島事故を受け、原発依存度を50%まで引き下げると公約。国内最古のフッセンハイム原発を2016年までに閉鎖すると表明しています。