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県産水産物、販路拡大へ空輸試験
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各地の空港から航空便で集められた羽田空港のカーゴヤード(県提供) |
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県は新年度、県産水産物の流通拡大を目指し、日本航空(JAL)などと共同で航空機での空輸試験に取り組む。早朝に本県で水揚げされた魚介類を即日、関西や九州などの西日本に輸送することで、新たな販路の掘り起こしにつなげる。
震災復興策として全庁的に取り組んでいる県ロジスティクス(物流)推進事業の一環。2013年度は2500万円を計上し、八戸港の物流拠点機能強化を図る。このうち県総合販売戦略課は事業費500万円をかけ、生鮮魚介類の遠隔輸送事業の可能性を探る。
同事業では旅客便カーゴを使い、輸送環境試験や効果的な運搬方法、コストなどを調べる。空輸試験には、出荷業者の中水青森中央水産(青森市)のほか、大手運送業者、販売業者も参画する予定。
本県から関西や九州に陸送すると、小売店に並ぶまでに通常2、3日かかる。中水の福岡有企画部長は「九州では特に活魚を評価する傾向があり、どうしても鮮度が劣化する県産水産物は催し物でもない限り、需要がないのが実情」と言う。
空輸が実現すると、午前8時すぎの青森空港発第1便で羽田空港を経由し、大阪伊丹空港には同日正午ごろ、福岡空港には同日午後1時すぎ、沖縄那覇空港には同日午後2時前には到着する。本県の市場から出荷された魚が、当日の夕方には関西や九州のスーパーに並ぶのも夢ではない。
一方、水産物の輸送時は鮮度を保つために氷水を入れた発泡スチロールや水槽などを使用するが、水漏れや魚介類特有の臭いが他の荷物に付着する懸念がある。水槽を使って魚介類を生きたまま輸送する場合、酸素を送るエアポンプのモーターが運航上支障はないか−などの課題もある。
日航貨物路線部国内路線室の久保隆室長によると、電波を発する機器の機内使用には国際基準があり、エアポンプが基準をクリアできるか確認する必要があるという。エアポンプを使った水産物輸送は日航でも前例がないとし、「実用化が可能なら飛躍的に輸送時間が短縮される。空輸試験では、輸送環境や品質面での実効性を確認したい」と述べた。
県総合販売戦略課の津島正春課長は「九州や関西などで鮮度のいい県産水産物が取り寄せられるとなれば、小売店にとって差別化になる。十分、売り込める可能性がある」と期待感を示している。
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