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絶版漫画、電子書籍で再評価 「Jコミ」仕掛け人に聞く

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2013/3/10 6:30
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 「魔法先生ネギま!」など累計3200万部発行の人気漫画家、赤松健氏(44)のもうひとつの顔はネット起業家だ。中古書店やファイル共有ソフトでの作品流通に対抗し、作家に広告収入が入る絶版漫画の無料閲覧サイト「Jコミ」を立ち上げた。電子書籍の普及によって紙ではできないような、一度眠った作品の再評価を可能にした、異色の手法の狙いを聞く。

■すべての関係者がWIN・WIN

漫画家 赤松健氏
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漫画家 赤松健氏

 赤松氏が漫画家業の傍ら、2011年4月に立ち上げた「Jコミ」は絶版になったマンガを無料で公開するサイトだ。作品数は約440、巻単位での閲覧回数は1100万回を突破した。閲覧時に挟み込む広告から得る収入はすべて作家に提供し、手数料は取らない。公開最初の月に2000~4万円ほどの収入になるという。

 「中古書店など、作家の収益にならない流通が増えたことが起業のきっかけです。特にファイル共有ソフトに対抗するには、無料しかない。そこで一般の電子書籍サービスとは違い、ブラウザーでの閲覧で広告収入を得るモデルにしました」

 「出版社との契約が切れた絶版作品に着目したのは、全ての関係者がウィンウィンになれるからです。読者は無料で読め、作家は収入を得て、同じ作家の新作を売るサイトへ導線をつけることで出版社の利益にもなる。コンテンツがよみがえるのです」


■復帰決意した作家も

 4日に3作のペースで新作を公開。当初は赤松氏からメールなどで作品提供を勧誘していたが、今では連日、作家から掲載依頼のメールが届く。

著者のサイン入りハガキなど特典をつけたPDFセットは50万~60万円分を売り上げる作家も
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著者のサイン入りハガキなど特典をつけたPDFセットは50万~60万円分を売り上げる作家も

 「さらに作家の収入を増やせるよう、昨年末から正式に始めたのが『JコミFANディング』です。作品のPDFに、作家のサイン入りはがきや本人との飲み会などの特典をつけ、1カ月間買い手を募ります」

 「本当のファンにとっては、仰天する価値がある。第1回の単価は1050円から2万1千円。32万5千円から60万円の売り上げ目標を設定しましたが6作家のうち4作家が達成しました」

 「中には半分引退していたり、バイトをしている方々もいる。そこに数十万円の収入は大きい。また、ファンの感想がツイッターで大量に届くのもうれしいんです。これを機に復帰を決意された作家もいます」

 ▼Jコミ 出版社との契約が切れ、絶版となった漫画だけを扱う無料閲覧サイト。一般作品で約330、成人向け作品で約110タイトルをそろえる。ページとページの間に広告を挟み込み、得た収入は全額作家に渡す。 スマートフォン向けのアプリもある。
 作家の許諾を得た後に、Jコミ側でコミックスなどを入手してスキャンする仕組み。一度でも商業誌に載った作品が対象で、同人誌は扱わない。
 熱心なファン向けに、サイン入りはがきなどの特典を付けたPDFセットを有料販売する「JコミFANディング」と呼ぶサービスもある。PDFには購入者の名前とメールアドレスを電子透かしで記録し、流出を抑止する。

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