普天間移設、名護漁協が埋め立て同意 南北格差「基地と共栄しかない」
産経新聞 3月12日(火)7時55分配信
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設をめぐり、政府は今月末にも仲井真弘多(ひろかず)知事に公有水面の埋め立て申請を行う方向で調整を進めている。ようやく前進の兆しが見えてきた移設問題。移設先の辺野古には、期待を込めて推移を見守る容認派の人々がいた。(千葉倫之)
移設予定地の漁業権を持つ名護漁業協同組合は11日、名護市内で臨時総会を開催し、埋め立てへの同意を賛成多数で決めた。今後、補償交渉で妥結すれば、知事が埋め立て許可を出す際に必要となる同意書を国に提出する。
「漁民が後悔しないよう、それなりの補償は求めていく。これからしっかりふんどしを締めてかかる」。容認派の中心人物の一人でもある古波蔵(こはぐら)広組合長は総会後、そう語った。
辺野古地区は、総会が開かれた市街地から山を隔てた東海岸にある。米軍の海兵隊が駐屯するキャンプ・シュワブのゲートを過ぎ、山中をうねる国道を曲がれば集落入り口だ。かつて米兵向けに営業していたバーやスナックの空き家があちこちにあり、うらぶれた雰囲気が漂う。
「地元の7、8割は移設賛成だ。この通り産業も仕事もない。基地があれば集落も潤う。生活が第一だ」
住民の男性(69)が教えてくれた。「反対しているのはよその人ばかり。あそこも本土の人が半分で、地元の人はほとんどいない」と、反対派のテント村が陣取る海岸を指した。
キャンプ・シュワブは辺野古を含む久辺(くべ)三区の住民が自ら誘致。基地とともに街は発展し、辺野古は一大歓楽街として栄えた。今や往時のにぎわいは皆無だが、地区行事での交流など米軍との関係は良好だ。
「県外移設」の大合唱と地元の声にギャップがある背景には、沖縄の「南北格差」という問題がかいま見える。
名護など北部は人口比で1割程度で、経済は大きく立ち遅れている。日々、基地と向き合う地域が寂れ、基地負担の「見返り」で栄えるのは中南部−。そんな「不平等感」を漏らす住民は少なくない。
ある住民の男性(62)はこう訴えた。
「南の人は基地返還で街が発展するから、簡単に『基地はいらない』という。ここにあるのは山原(やんばる)と水だけで、企業誘致もままならない。基地と共存共栄する。そんな夢しか描けない場所なんです」
最終更新:3月12日(火)8時37分
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