中国:村長追放、ろう城…農地無断転売に住民が立腹
毎日新聞 2013年03月11日 21時38分(最終更新 03月11日 22時13分)
【上海・隅俊之】中国広東省掲西(けいせい)県上浦村で、農地を無断で転売した村長を住民が追い出し、新村長の直接選挙を求めている。しかし、住民が立てこもった村には10日、約2000人の武装警察が突入。北京では全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕中で、社会安定を優先した中国当局が強硬姿勢に出たとみられる。
香港紙などによると、村では1月、地元の鎮(村の上に位置する行政単位)政府に任命された村長が、農地を投資企業に転売する契約を勝手に結んだことが発覚。住民は村長を追放し、掲西県政府も村長を拘束した。しかし、村長側とみられる数百人が2月22日、刃物や鉄パイプなどを持って住民らを襲撃、約10人が負傷した。村長側の報復とみられる。
さらに、今月10日午前2時半ごろ、当局が村への電源や電話回線を切断し、武装警察が大量の閃光(せんこう)弾を放って突入した。住民は投石で抵抗したが、5人が拘束され、約30人が負傷したという。
県政府は「売買契約は無効」として、事態収拾を図った。住民は「県政府は腐敗している」として、広東省政府に対し、中立的な調査や、自主的な村長選挙の実施などを要求。しかし、さらなる武力鎮圧を恐れて村から逃げ出す人もおり、焦燥感が漂っているという。