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放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」
【第15回】 2013年1月10日
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井部正之 [ジャーナリスト]

静岡市の震災がれき試験焼却で明らかになった
広域処理での放射能拡散増加の可能性

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各地で根強い反対が続く震災がれきの広域処理。これをめぐって市民が独自に調査を実施した。震災がれきの処理によって放射能が拡散している可能性を示す調査結果はどのようなものなのか。

広域処理で放射能拡散か

 東日本大震災で発生した震災がれきの処理で、政府は全国に運んで処理する「広域処理」を推進してきた。だが、その受け入れをめぐっては、放射能汚染の問題から反対も根強い。

 健康被害や放射能拡散の懸念などを理由に反対する住民に対し、国や自治体は「安全」「影響はない」と反論し、いくつかの自治体で広域処理が強行されてきた。

 広域処理が始まっている自治体の1つ、静岡市で市民が独自に調査したところ、震災がれきの処理によって放射能汚染が増加している可能性があることが分かったという。

 調査したのは静岡県の市民団体「セーブ・ジャパン・ネットワーク」。調査は大気中を漂って地上に降ってくる粉じんやばいじんを容器で集める「降下ばいじん法」で実施した。これは大気汚染調査によく使われるもので、国でも採用している方式だ。

降下ばいじんの採取に使用した衣装ケース

 具体的にはプラスチックの衣装ケース(40センチ×74センチ)にろ紙を敷きつめ、ろ紙が浸るくらいの純水を入れる。これを測定する場所に一定期間置いておくことで、この中に降り積もったばいじんを雨水などと含めて採取する。その後ケース内の水を乾燥させてろ紙を回収し、放射性物質の種類や量を調べることができる「ゲルマニウム半導体検出器」で精密分析するというものだ。

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井部正之 [ジャーナリスト]

地方紙カメラマン、業界誌記者を経て、2002年よりフリー。現在アジアプレス・インターナショナル所属。産業公害や環境汚染、ゴミ問題などを中心に取材している。


放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」

2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東京電力福島第一原子力発電所の事故による大量の放射能がまき散らされた。それ以来、私たちの生活は大きく変わった。降ってくる雨水、蛇口から出る水、スーパーで売られている食べ物……、ありとあらゆるものが、放射能に汚染されているのではと、汚染を疑わざるを得なくなったのだ。しかし、こうした私たちの生命と健康を脅かす汚染は、なにも3.11で始まったわけではない。アスベスト、他のさまざまな有害ゴミは、もともと私たちの生活のすぐそこに存在した。環境汚染大国ニッポンー◯。その実態をレポートする。

「放射能、アスベスト、有害ゴミ……「環境汚染大国ニッポン」」

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