政治【震災2年 政治の風景(中)】収束宣言の「罪」 関心薄れる福島の戦い+(1/2ページ)(2013.3.11 21:19

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【震災2年 政治の風景(中)】
収束宣言の「罪」 関心薄れる福島の戦い

2013.3.11 21:19 (1/2ページ)

 現在、衆院災害対策特別委員長を務めている坂本剛二が永田町で「風化」という言葉を耳にするようになったのは昨年の夏の盛り。消費税増税が決まり、首相の野田佳彦と自民党総裁の谷垣禎一が「近いうち解散」で合意した頃だ。

 「風化させないように頑張ってよね。坂本さん」

 民主党が政権を獲得した平成21年衆院選で議席を失った坂本は上京するたびに、こう声をかけられるようになった。しかし、自身の選挙区は、東京電力福島第1原発を抱える福島県双葉郡を含む福島5区。「風化」という言葉に違和感が募った。

 再起を目指し活動を本格化させた坂本を待っていたのは、仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者の罵声だった。

 「何だ、自民党じゃねえかよ。原発持ってきたのはおめえのとこじゃねえか」

 子や孫と別れて暮らす被災者から怒鳴られるたび、坂本は頭を下げ続けた。

 坂本は衆院議員として通産総括政務次官、経済産業副大臣を歴任した。日本が国際競争力を付けるためには原発は必要だと考えたことや、除染、賠償、避難者の自立に取り組むことを説明すると、同じ被災者がぽつりとこぼした。

 「もっとも、民主党は何もやらなかったもんなあ」

 永田町、霞が関での「風化」の一因として、坂本は野田政権が23年12月に出した原発事故の「収束宣言」を挙げる。

 原子炉の温度が100度未満の冷温停止状態になったことで事故収束の工程表「ステップ2」が完了したと判断した野田は「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと判断できる」と記者会見で宣言したのだ。

 「あれを境に福島県外の多くの国民の危機意識が薄れた。地元からすれば収束どころではないのに」。坂本はこう振り返る。

 民主党副代表(原発・復興特命担当)で参院議員の増子輝彦は収束宣言前、福島選出の与党議員として収束宣言に反対した。

 「収束宣言は絶対に駄目だ。命取りになるぞ」

 宣言の直前、増子は原発事故担当相の細野豪志に電話でこう伝えた。

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