世界を震撼させた福島原発事故から二年目の3月11日を翌日に控えた10日、日曜日。
福岡市博多区の冷泉公園で、「さよなら原発!福岡集会」が開催された。
前日が暑くて日曜も暖かいという予報だったので薄着で行ったら震えるほど寒かった。
参加者は、はじめ500人ほどで、二年でこんなもの?と友人と話していたが、
なんとか、集会半ばには1000人ほどに増えていった。
参加者は、共産党が多く、中核系市民運動も多め、党派色のない市民運動って少ない。

20年前に、ぼくと一緒にチェルノブイリ支援運動・九州を結成し、
ウクライナ、ベラルーシへ原発事故被災地調査に行った仲間のFさんは、
小倉で集会をやっているけど、他の人はどうしてるんだろう?
一緒にチェルノブイリの子どもたちへの募金集めをした仲間はどうしてるんだろう?
誰かに会えないかなと思って、公園をうろうろしていると、
「玄海原発風下の会」の歌い手だった風下スミトさんに会った。
まー。髪が伸びて、なんだか、ますますアーティストふう。
でも、最近は風下の会に顔を出してないと聞いた。
そうか、みんな、あの頃とは違った人生に向き合って生きてきたんだよね。
現役で原発反対運動を続けているKさんや飯塚のYさんたちに会った。
あ、旧社会党のSさんにも会ったね。
でも、そのくらいかなー?
ま、佐賀、小倉、福岡と各地で集会やってるからね。

チェルノブイリ原発事故の後に世界でも日本でも、
原発反対の運動は盛り上がり、
「いのち」「地球」「未来」、そんなことばが飛び交い、
たくさんの人が、勉強会や集会、デモ、電力会社との交渉に参加した。
そして、各地で小さくても原発事故が起こるたびに抗議し、
「玄海原発も同じ炉だから止めろ!」とぼくは九電前にテント張ったりもした。
でも、運動は、明らかにしぼんでいった。
「チェルノブイリ事故のような大事故は日本では起こらない」
ということを言う人が増えていった。
チェルノブイリ事故の脅威が人々の中で風化していった。
そして、長い時間を運動に捧げるわけにいかない生活者たちであった。
弾圧もあった。
反原発のステッカーを貼った女性が逮捕された。
ぼくの目の前で、大学教員が逮捕された。
他にもあった。。。
弾圧は人生を変えてしまうくらいに力がある。
たいていは、その人を立派な運動家にしてしまうが・・・。
運動としては、弾圧の問題共有がうまくいかずに分断という形も起こる。

さて、集会の話に戻ろう。
ぼくは、14時からの集会に12時に行って、集会準備を手伝った。
集会では、死刑廃止・タンポポの会のビラまきをする予定だった。
しかし、この集会でビラまきをしたいという団体がたくさんあって、
集会で配布するプログラムに各団体のビラを挟むことになったと連絡があった。
それで、集会前にビラの綴じ込み作業を数名でしていた時のこと。
「なんで、原発に関係のないビラを入れるんだ?」(←死刑廃止?)
「このビラはどこのだ?」(←中核派のビラでした)
「こういうビラは、それぞれの団体が自分で参加者にまくべきものだろう?」
と大きな声で不満を言う人がいたりして、ぼくや仲間は正直不愉快な思いをした。
だって、「ビラを入れたい人は12時にきてください」と言われて行ったんだから。
文句言う人は知らなくて作業してるってことだよね。
実行委員っぽかったけどな。
このビラの作業って、実行委員会で決めたのじゃないの?
誰かの独断?

20年前の脱原発運動で弾圧があったと、先ほどちらりと書いたが、
今も、東京や関西を中心に運動に対する弾圧があり、
いまだに拘留されている人たちがいる。
裁判も継続中だ。
しかし、運動の中には次のような意見の人たちもいる。
「逮捕されるようなことをするのが悪い」
「自分が気を付けていれば逮捕はない」
「弾圧への対応で警察と敵対すべきでない」
「警察に抗議するな」
「警察とは仲良くして、普通の人が来やすいようにすべき」
逮捕は、自己責任か?気を付ければ大丈夫?
現場でないところで礼状逮捕されてる人もいるのに?
あまり書くと長くなる・・・

集会の終りのほう、デモ出発前の注意として語られた。
正確な文言は覚えていないが主催者側の人が発言しました。
「今日は、おまわりさんがたくさんいますが、
 おまわりさんたちは、デモに参加している人を捕まえたりしません。
 おまわりさんたちは、私たちを守ってくれます。」

録画を見ましたので、上記部分を訂正して事実に近い形に直します。
やっぱり、趣旨は同じでも言葉が違ってましたね。
訂正文は、以下。
原発なくそう九州玄海訴訟弁護団の後藤弁護士の発言。
「皆さんの安全が第一。
 途中で気分が悪くなったら実行委員に言ってください。
 必ず指示に従ってください。
 今日は、たくさんの警察官が来ていますが、
 警察官たちは、私たちを守るために来ています。
 私たちを取り締まるとか私たちに何かをするためにきているんではありません。
 実行委員の指示に従うと同時に警察官の指示に従ってください。」

耳を疑った。
労組の仲間からは小さいながらもブーイング。
だって、今、市民救援会を福岡で立ち上げようとしてるんだよ。
「おまわりさんが弾圧しない」なんて、どんなつもりだよ?
共産党は、警察となんか取引したのか?
実行委員会で意志一致して言ってることなのか?
でも、そこではもう聞き流しました。
ぼくは、実行委員会に行ってないからね。
一参加者だもの。
仕方ないさ。(ほんとは、全然、納得できないけど。)

そして、いよいよデモ出発の時になって、
「これお願い」と、ポンとぼくにマイクが渡された。
「は?」
「これで、喋って」
「いや、だから、自分は実行いいんじゃないし」
「いいから、他にいないから。」
宣伝カーのマイクでデモの時に喋ってくださいと、その場で役割振られた。
だってね。
ぼくはね、以前にここの実行委員会がやった反原発デモの日の丸見て、
持ってる人にも実行委員にも注意したんだよ。
今回、「持ってきた人には注意する」と聞いて、参加したんだ。
その程度の関係、立場なのに、マイク持たせる?
さっきの弾圧のことだって、意見があわないようだし・・・。
困惑と腹立ち、でも、時間がない。

そうするうちに、先に出ていくデモ隊の中に、日の丸が!!!
「ちょっと待て!」と走ったが、大事なものを落として追い切れず。。。

ムキー!っとなりながら、宣伝カーの中でマイク持って喋った。
これは喋ってOK? これはマズイかな?
悩みながら、思いつくことをどんどん喋ったよ。
事故は続いているとか、電気と原発の話とか、瓦礫とか放射能汚染、集会の意味とか。
過去のチェルノブイリの人たちのことと福島の人たちが同じことを言ってるとか。
当たり障りのないことを・・・。
いきなり、問題山積みの運動の話をするのがどんなに大変か考えずに、
ひょいと、意志一致のない人にマイクを渡す神経を疑う。
一参加者に、これだけの負担をさせるのってどうなんだろ?
ぼくは、意見があわないから実行委員会に参加していないんだよ?
疲れた・・・・。




































































































そして、極めつけは、デモ隊が出発する直前、
「これ、お願いね」と、ぼくにコール用のマイクが渡されたことです。
全く、予想もしていませんでした。
実行委員ではないし、何をしゃべっていいとか悪いとか、ぼくには全くわからないのですよ。
それでも、福島原発事故のこと、避難者のこと、チェルノブイリのことなど挟みながら、
コールをリードしました。
ぼくの喋ることが宣伝カーの大きな音で流されるのですから、
あんまりいい加減なことも言えないし非常に疲れました。

集会報告というよりも、批判に近い文章になって実行委員会には悪いのですが、
やはり、もう少し討論と意志一致が必要だったのではないでしょうか?
役割分担やデモ隊列についての詰めも不足するところが多かったです。
実行委員でないので、お客さん気分で、お気楽に参加できると思っていたのに・・・。

うーん。
お客さん気分は言いすぎですが。

あ、それと、日の丸を挙げてる人がいましたよ。
以前に見かけて注意したことあるんですが、
手書きのモナーのプラカードに日の丸つけてました。
あのモナーは、「きんしゃい」にも参加してると思います。
結局、福岡の原発いらないデモには日の丸付きなんですね。
追いかけていったのですが、こちらもトラブルがあって追いつきませんでした。
どうなったんでしょう?あの日の丸は?
なぜ、日の丸といっしょに歩いて、原発に反対できるのかわかりません。

まあ、とりあえず、弾圧がなくて良かったです。
・・・今日のところは。