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2年ぶりに響いた大槌の鐘!江岸寺で突き初め

突き初めで、新調された鐘を突く江岸寺の大萱生住職

 1万8000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災から、11日で2年がたった。故郷に思いをはせる約31万5000人の避難生活者や、被災地で復興に力を尽くす遺族たちは、それぞれの「3・11」を迎え、鎮魂の祈りをささげた。岩手県大槌町の曹洞宗・江岸寺(こうがんじ)では、震災で焼損した本堂の釣り鐘が新調され、2年ぶりに厳かな音が響き渡った。また政府主催の追悼式が都内で行われ、天皇、皇后両陛下と、安倍晋三首相らが出席。地震が起きた午後2時46分に合わせ、黙とうがささげられた。

 「ボォーー…ン」「ボォーーーー…ン」。頭上に広がる青空のように澄んだ、真新しい音色が響き渡った。父と長男が行方不明となった大萱生良寛(おおがゆう・りょうかん)住職(54)は耳を澄まし、頬を緩ませている。「いい音だね。鎮魂、希望って言ってボヘーンって音だったらさみしいもんね」

 1200人以上もの死者・行方不明者を出した岩手県大槌町の江岸寺ではこの日、新しい釣り鐘の突き初めを行った。津波後の火災で本堂が全焼し、鐘が焼損した寺に鐘の音が響き渡ったのは2年ぶりだ。

 高さ約130センチ、幅約80センチ、重さ約600キロの鐘は滋賀県の製作所から3日かけて運ばれ、10日午後に届いたばかり。「強く突くと、こもる音。前のはちょっと音が割れちゃってたから。いや~、いい音です」。午後2時46分には、約500人もの檀家(だんか)や地元住民が訪れ、思いを込めて鐘を鳴らした。

新しい鐘の手前には、震災時の火災で焼損した以前の鐘も。後方には倒れた墓石がそのまま残っている

 寺の近所で生まれ育ったという仙台市の佐々木成輝さん(37)は、震災で亡くした父の三回忌法要で訪れ「小さい頃からここで鐘を叩いてました。前以上にいい音ですね。気持ちを新たに前に向かっていきたいです」と晴れやかな表情で語った。
父と長男津波犠牲 震災で檀家の半数近い約700人が犠牲になった寺。津波と火事により、境内にいた職員や檀家約40人も命を落とした。大萱生住職も、父で前住職の秀明(しゅうみょう)さん(当時82歳)と長男の寛海(ひろうみ)さん(当時19歳)が行方不明に。本堂は全焼。昭和30年代から寺の象徴だった鐘も無残に焼損し、真っ二つに割れてしまった。

 心を閉ざした住職だったが、昨年5月、薬師寺(奈良市)からの進言で鐘を再びつくることを決心した。製作費のうち約300万円は檀家の有志が負担。足りない分は全国からお布施が寄せられた。刻まれた文字は「愛別離苦」「梵鐘の音に想いをのせて」。秀明さんの自筆「南無釈迦牟尼佛」の文字も入れられた。「祈り、鎮魂、復興、希望。人それぞれの願いを鐘に込めてほしいのです」

 今も倒れた墓石が散乱し、プレハブの仮本堂のままの寺で、住職の新たな夢は本堂を再建し、焼損した鐘を設置する場所をつくることだ。希望を照らす新しい鐘と、記憶を物語るかつての鐘。「人が震災のことを忘れる日は必ず来る。でも忘れっぱなしじゃ、うまくない。だから残していきます」

(2013年3月12日06時01分  スポーツ報知)

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