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最終更新:2013年3月11日(月) 19時30分

震災から2年、原発被災者1650人が一斉提訴

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 福島第一原発事故の被災者1650人が、国と東京電力に対して賠償金などを求める一斉提訴に踏み切りました。

 震災から2年が過ぎても復興の道筋すら見えない場所があります。原発事故の被災地。

 避難生活を余儀なくされている被災者1650人が11日、国と東京電力に総額53億円あまりの賠償を求める訴えを4つの裁判所に一斉に起こしました。

 原告の1人、元大工の遠藤行雄さん(80)。福島県・富岡町の自宅は警戒区域に指定され、今は妻の公子さんと、かつて仕事場だった千葉県内の事務所に身を寄せています。

 「孫・娘・息子が来て、盆や正月に皆でどんちゃん騒ぎした。あの楽しさは取り返せないでしょ」(遠藤行雄さん)
 「がっかりしますよ。ここで死んでもいいやって隠居した」(妻・公子さん)

 震災後はわずかな年金と東電からの賠償金が頼りでした。ところが賠償は去年、突如、打ち切りを告げられたのです。

 「事故があった日にはそこ(富岡町)に住所がないから、遠藤さんは(賠償の)該当者にならない。こんなバカなことない」(妻・公子さん)

 実は、夫婦は仕事の都合で住民票を自宅からこの事務所に移していました。東電は「夫婦を被災者ではない」として、支払い済みだった300万円あまりの賠償金も「支払う必要がなかった」と主張したといいます。追い詰められた夫婦は、賠償の仲介を行う『原子力損害賠償紛争解決センター』に助けを求めました。しかし、ここでも訴えは退けられました。

 「私どもでも判断しきれないから、裁判所で判断してくださいという事件もある」(紛争センター 野山 宏 室長)

 『紛争センター』には6000件近くの訴えが持ち込まれていますが、処理されたうちの3割にあたる833件が和解に至っていません。

 「命のあるうちにせめて補償だけでもしてもらって、命が残ってたら戻りたいとは思いますよ」(遠藤行雄さん)

 司法の手に委ねられた原発事故被災者の救済。裁判所の迅速な判断が課題となっています。(11日14:21)

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