中国、日本の国鉄民営化に学ぶ? “腐敗の温床”鉄道省を解体へ

2013.03.11

 【北京=矢板明夫】中国国務院(政府)が10日、開会中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に提出した機構改革案の中には、巨大な利権を背景に「腐敗の温床」といわれた鉄道省の解体が明記されている。同省は60年以上の歴史に幕を下ろす。行政の効率化を目指す温家宝首相ら改革派の勝利といえるが、同時に進めていた金融、文化などの部門統合は保守派の抵抗でほとんどが見送られ、27あった省庁は25の微減となる。

 馬凱国務院秘書長の説明では、鉄道省の行政部門は交通運輸省に吸収され、鉄道運行を担う営利部門は国有企業「中国鉄道総公司」として再出発する。鉄道省幹部は産経新聞の取材に「日本の国鉄民営化の経験は大変参考になる。これから勉強したい」と話した。

 1970年代末の改革開放以降、石油工業省、紡績省、電力省など多くの営利部門を持つ省庁は削減されたが、同じく「計画経済時代の遺物」といわれた鉄道省は生き残った。万里氏、丁関根氏ら鉄道相を経験した有力政治家の抵抗が原因といわれた。2000年以降、高速鉄道建設に伴う財政支出で鉄道省は再び脚光を浴び、巨大な利権ネットワークを形成した。上海交通大学出身の江沢民前国家主席が後ろ盾となり多くの側近を送り込み、同省は“江派の牙城”といわれた。

 2011年夏に浙江省温州で起きた高速鉄道事故で、鉄道省の安全管理体制やずさんな対応に国民の批判が集中した。温家宝首相は同省解体を「引退前の最後の大仕事」と位置づけ、次期首相となる李克強政治局常務委員の協力を得て、抵抗勢力を抑えたという。

 機構改革案では、衛生省と「一人っ子政策」を担当する国家人口計画出産委員会を統合し国家衛生計画出産委員会とするほか、食品安全強化のための国家食品薬品監督管理総局を設ける。しかし、金融、保険、証券の監督部門を統合し「大金融省」とする案や、台湾、香港・マカオ、華僑の担当部門を統合し国家平和統一委員会を作る案は実現せず。省庁を18に減らそうとした温首相らの構想の多くは骨抜きにされた。

 

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