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歴史ある集落、模型に 津波で壊滅の陸前高田・気仙町今泉

江戸時代の今泉集落を再現した模型。震災前の町並みにも、吉田家住宅(中央)をはじめ、当時の趣が色濃く残っていた

 東日本大震災で壊滅的被害を受けた岩手県陸前高田市気仙町の今泉地区について、東北工大工学部建築学科の高橋恒夫教授の研究室が、江戸時代の同地区一帯の模型を制作した。気仙郡政の拠点で、津波で流された「大肝入(おおきもいり)屋敷」を中心とした歴史的集落がよみがえった。盛岡市の岩手県立博物館で展示されている。

 大肝入は、仙台藩の村方役人の最上位の役職。気仙郡24村は吉田家が担い、藩主が泊まったこともある屋敷「吉田家住宅」は県文化財に指定されている。
 模型は東西約1メートル、南北約2メートルで、19世紀初めごろの町並みを再現している。大肝入屋敷を手掛けた気仙大工の棟梁(とうりょう)宅にあった絵図などを基に、部分的な推定も加えて作った。
 南北に寺社や足軽の家々を配置。鍵形の街道が通り、大肝入屋敷を守るように土蔵が並ぶ。計画的なまちづくりの様子がうかがえる町並みで、屋敷周辺も含め、震災前まで当時の趣があったという。
 市は土地のかさ上げと高台開発により、今泉地区を再整備する方針。吉田家住宅については震災後、県立博物館や県教委などが母屋部材の多くを回収、保存しているが、復元のめどは立っていない。
 40年近く現地に通った高橋教授は「仙台藩の地方の町場の形態がそのまま残り、歴史と文化のまちだった。それをベースとした復興を考えてほしい」と話している。
 展示は17日までで、県立博物館の入館料が必要。模型は市に寄贈する考え。


2013年03月08日金曜日


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