南海トラフの外側に活断層か3月10日 17時40分
巨大地震が想定されている南海トラフ周辺の海底地形を、活断層の専門家が詳しく分析したところ、南海トラフの外側に、活断層の可能性がある地形が新たに見つかりました。
すでに見つかっている活断層と合わせるとマグニチュード8を超える巨大地震が発生し、東海や関東などに大津波が押し寄せるおそれがあるということです。
活断層の可能性がある地形が新たに見つかったのは、伊豆半島の沖合およそ80キロから伊豆諸島北部にかけての海底です。
活断層の研究が専門の広島大学の中田高名誉教授の研究グループは、最新の測量に基づいて作られた海底地形図を分析しました。
愛知県から静岡県の沖合には、巨大地震が想定されている「南海トラフ」があり、その南側の銭洲海嶺と呼ばれる海底山脈の南の麓には長さ100キロ余りの活断層があることがわかっています。
今回の分析では、この活断層の北東、伊豆半島の沖合から伊豆諸島北部に当たる海底でも、活断層の可能性がある崖のような地形が新たに見つかりました。
すでに確認されている活断層と合わせると長さは270キロを超え、地震で一度にずれ動いた場合、最大でマグニチュード8.4の巨大地震になるということです。
研究グループが、この巨大地震で発生する津波の高さをシミュレーションしたところ、東海地方で最大8メートルから10メートル、神奈川県や千葉県などでも最大5メートルから6メートル、東京湾でも数メートルに達しました。
これらの結果は、今から500年余り前の1498年に発生した「明応地震」の津波の記録とおおむね一致するということです。
明応地震は、南海トラフで起きたとする考え方がありますが、津波の記録と合わないため、研究グループは、この活断層が明応地震の震源の可能性が高いとしていて、南海トラフ以外の津波対策も考慮すべきだと指摘しています。
東日本大震災も巨大な海底活断層動いた可能性
中田名誉教授は、11日で2年となる東日本大震災も、東北沖にある巨大な海底活断層が動いた可能性があると指摘していて、今回の活断層のリスクも見過ごしてはならないとしています。
巨大地震で起きた津波を巡っては、震源域付近でプレートがずれ動いただけでは、シミュレーションで分析しても岩手県沿岸で高さ20メートルの大津波にならず、研究者はさまざま仮説を立てています。
この中には、海底の「地すべり」が影響したという考え方などがありますが、中田名誉教授は、東北沖の海底地形図を分析して南北500キロに及ぶ巨大な海底活断層が動いて大津波になった可能性を指摘しています。
中田名誉教授は、「東日本大震災では調査が間に合わなかった。今は、南海トラフだけが注目されているが、近くに同じような巨大地震を引き起こす活断層があると考えて、不意打ちを受けないように対策を検討していく必要がある」と話しています。
▽ 新たな地盤の隆起 関東の西側などで確認 (3月11日 17時30分)
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