原発のない社会の実現などを訴えながら歩いたデモ行進=長野市内 |
東日本大震災による東京電力福島第1原発事故が発生して11日で2年となるのを前に、県内各地で10日、市民団体などが原発のない社会の実現を訴えて、街頭でデモ行進をしたり、講演会を開いたりした。参加者らは脱原発などを訴えるプラカードなどを掲げ、通行人らにアピールしていた。
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長野市の中心市街地では、脱原発を考える県内の市民団体などでつくる実行委員会が、原発のない社会の実現などを訴えてデモ行進した。約500人が集まり、「原発いらない」「今すぐ止めよう」と通行人にアピールした。
参加者は「原発なしの未来へ」などと書かれたプラカードや横断幕を手にしながら、JR長野駅善光寺口周辺を約40分かけて行進。1歳7カ月の次男と参加した同市上ケ屋の主婦、バグショウ恭子さん(42)は「原発による汚染の心配がない未来を子どもに残すため、できる限り行動したい」と話した。
同市では、市民団体「原発に頼らない未来を創(つく)ろうプロジェクト」などが毎週金曜日、長野駅周辺で原発反対行動を開催。同団体代表で、デモ行進実行委の共同代表でもある田沢洋子さん(57)=長野市鶴賀=は「食べ物の安全性への関心も薄れているが、放射能の影響が消えたわけではない。これからも行動は続けたい」と話した。
松本市中心部では、脱原発を目指す中信地方の住民グループや労働団体などでつくる「脱原発信州ネットワーク・松本」が呼び掛けたデモ行進があり、約千人が参加。行進前には、松本城公園で集会を開き、「いのちを大切に ふるさとの空を・大地を・水を大切にと声をあげ続けていきましょう」と集会宣言。その後、「原発なくてもええじゃないか」と声を上げたり、「経済より未来の日本のために原発を棄(す)てよう」と書いたプラカードを掲げたりしながら松本駅前まで歩いた。
福島市出身で松本市の自営業遠藤真哉さん(37)は「原発事故で故郷に帰るに帰れないという友人もいる。いま脱原発の声を上げないといけない」。大町市の農業吉岡博子さん(62)は「原発事故はまだ解決していない。問題への関心が薄れないよう、声を上げ続けたい」と話していた。
このほか、諏訪郡下諏訪町では、諏訪地方の有志でつくる「脱原発すわ連絡会」が脱原発を訴える街頭活動や講演会を開催。同郡富士見町でも住民有志でつくる「原発問題富士見町連絡会」の会員10人が脱原発を街頭で訴えた。
伊那市の中心市街地では、上伊那地方の有志でつくる「さよなら原発上伊那の会」が呼び掛けたデモ行進があった。飯田下伊那地方では、有志による「脱原発・自然エネルギーへの転換を求める飯伊地域連絡会」が、飯田市内で脱原発を訴えて行進し、約150人が参加。大町市でも「震災復興 原発ゼロ3・10行動in大北」(実行委員会主催)が開かれ、約120人がJR信濃大町駅前の集会や市中心街約2キロのデモ行進に参加した。