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【 こよみ
】
-あいつの両親、人間じゃ・・・・・・なかったんだ-
家族を想い、自分を押し殺す少女
主人公の幼馴染。
不在の両親の代わりに、主人公と妹の憂姫の面倒を引き受けている。
そう、表面上は振舞っている。
憂姫ちゃんが私の事嫌ってたのは知っていたよ、でも・・・・・・私はそれで構わなかった――。
時雨と、私と、憂姫ちゃん3人で暮らせれば・・・・・・それで良かった――。
私は嫌われたって良い――それで・・・・・・みんな一緒に暮らせるなら。
私は――そうやって、自分の家族を守ってきたの――。
私は冷静だよ、だって――いつかこの日が来るって分かっていたから。
憂姫ちゃんが何で腕と足が不自由なのか知ってる?
あれはね――・・・・・・。
【 千夜
】
-冷たく、無慈悲で、そして・・・・・・とても優しい光だった-
死にたがりの幽霊
主人公の一つ上の学年、任期切れの元生徒会長。
自分の事を幽霊と自称する、少し変わった異能力者。
ヒトは記憶を持っている。
トカゲやミミズには無いそうよ、記憶――って。
彼ら――殆どの生き物は、頭に過去の出来事を記録出来ない。
その場その場で、判断しているだけに過ぎない。
でも――私達は違う。
あなたがその足で立っていられるのも、立つ感覚が記憶に残されているから――。
そして過去の思い出は、死者という概念を生み出してしまった。
他の動物なら――死んでしまったモノは、それはもう仲間じゃない。
死んでしまったら、それは有る――ではない。
無――なのよ――。
だから、ヒトの次に賢いと言われているチンパンジーですら・・・・・・。
自分の子供が死んだと分かれば、その場に捨ててしまう。
ヒトは――記憶を得る代償に、死の恐怖を与えられた――。
あなたの大切な人も、そしてあなた自身でさえも――いずれこの世から消えてしまう。
だけど――あなたの記憶は残るわ――。
記憶は――死と言うものを、無から有に変えたの。
大切な人の思い出を忘れたくない・・・・・・その願いが、この世に死者を誕生させた。
そしてまた――この世界に、死後の世界を作り出したのよ――。
幽霊はね、人間が作り出したの。
不確かで移ろい――やがて忘れ去られるモノ――。
ヒトの願いと思い出とを依り代にして、幽霊はこの世で存在を許されている。
だから、私も――ここに立っていられるの――。
【 憂姫
】
-死にながら生き続ける者を、彼女は自分の中に作ってしまった-
小さな哲学者
主人公の妹で、過去に負った事故で両手足が不自由。
兄を想う気持ちは人一倍強く、血の繋がりに悩み、一人ひっそりと枕を濡らす。
心の中に、灰色の塊が占めていった――。
――からっぽ。
まだ、からっぽなのだ。
満たさないと・・・・・・。
自分を暖かく包むお日様の日差しの中に浮かぶ、等間隔に並んだ墓標。
中身は何もなく、ただ地面に突き立てられているだけだ。
早く、お墓を完成させなければ――。
心は・・・・・・幼き時より鬱屈していたのだろう。
やってはいけない、という心の枷を破るのは、自分にとっての甘美な誘惑でしかなかった。
それはとてもとても甘く自分の欲求を浸し、ついには制御出来ないまでの大きさに膨らんでいく。
満足感等は無かった。
ただ・・・・・・心が濁っていくのだけを感じた。
こうして自分の内面に、小さな悪魔が宿ったのだ・・・・・・。
【 生徒会長
】
-一夜――そう呼ばれていた彼女-
鏡の中に閉じ込められた女の子
千夜にそっくりな、任期切れの元生徒会長。
上級生としての立場で主人公たちを導くが、それが良い結果に向かうとは限らない。
私は出来るだけ、中立な立場でいたかったんです。
例えそれが――どれだけあなたを苦しめる結果に、なったとしても。
5年――それは、長いのか、短いのか、私にはもう分かりません。
でもあなたの事が好きだった――その気持ちだけは、長い時間の中で――きっと変わらない。
例え私の身体が無くなっても、魂さえも溶けて――しまっても――。
あなたの事が好き――それだけが、私に残った、記憶の全て――。
【 遥
】
-彼女の身体は少しずつ腐っていた・・・・・・繋がりの弱い指が一本――また一本と地面に落ちる-
反乱する小動物
主人公の同級生、こよみの所属する女バスの部長。
小さい身体にコンプレックスを持っており、それを努力でカバーするがんばり屋さん。
身体?
ああ――こんなものは、私を動かすための道具でしかないんだ――。
心がとうに腐ってしまったから、身体がダメになるのも時間の問題だっただけでしょ――。
興味が無さそうに、部長はそっけなく呟いた。
でもね――まだ――。
君たちをコロス時間は、十分にあるよ。
【 時雨
】
-そうして時間を逆回転させて、今もまだ夢の中で――嫌な現実から逃げている-
無鉄砲な不器用者
物語の主人公、成長と共に正義感が人一倍強くなっていく。
そしてまた自分の能力と、過去に引き起こした出来事について、気がついていない。
晴れていた――。
みずみずしい空は全ての青を吸い取ったように、日の光に晒されていた。
それは心の蓋を外されたように、高く――高く――。
心が持ち上げられていく感覚、それにオレは・・・・・・絶えられなかった。
ごめん・・・・・・。
不思議と、謝罪の言葉が心を突いた。
貰ったオレの新しい身体は、まだ自分に――馴染んでいない。
泣き出しそうな感情を抑えて、オレは立ち上がる。
前に――進まないと、いけない――。
こよみは――オレの傍らにゆっくりと寄り添う――。
元気出せ、時雨――。
ぽんと肩を叩く彼女に、ほんの少しだけ――救われたような気がした。
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