韓国の地裁が、対馬市豊玉町の観音寺から盗まれた県指定文化財「観世音菩薩坐像」の返還を差し止める仮処分を決めた問題で、市議会は8日、仏像の早期返還を求める決議を全会一致で可決した。
決議案を提出した長信義市議は「仏像は地域の宝で、信仰のよりどころ。卑劣な犯罪行為で奪われ、市民は激しい憤りを感じている」と抗議。同時に盗まれた海神神社の国指定重要文化財「銅造如来立像」と多久頭魂(たくずだま)神社の県指定文化財「大蔵経」も含め、文化財不法輸出入等禁止条約などの国際法に基づき早急に返還するよう求めた。
韓国側から、観音寺が正当に仏像を取得したことを証明すべきだとの声が出ている点については「(仏像が作られた当時の)朝鮮半島は苛烈な仏教排斥の背景があり、交易などでもたらされた」と強調した。
市議会は仏像所有者らと連名で決議文を韓国文化財庁や在日韓国大使館に送る方向で調整している。