米国:「迎撃に自信」 北朝鮮「核先制」言及に
毎日新聞 2013年03月08日 13時02分(最終更新 03月08日 13時49分)
【ワシントン白戸圭一】国連安全保障理事会による追加制裁に反発する北朝鮮の外務省報道官が、米国などへの「核先制攻撃」に言及したことについて、カーニー米大統領報道官は7日の記者会見で「米国は北朝鮮によるいかなる弾道ミサイル攻撃に対しても完全な防衛能力を有している」と述べ、迎撃ミサイルによる防衛に自信を示した。
オバマ政権として北朝鮮の脅しに動じない姿勢を国内外に示したものだが、北朝鮮が昨年12月、米本土を射程に収める長距離弾道ミサイル発射に「成功」したことに対し、米国内では北朝鮮の核攻撃に対する懸念が急激に高まっている。これまで北朝鮮情勢にあまり関心を示してこなかった米主要テレビも今回の「核先制攻撃」発言を報道しており、米世論の関心の高まりがオバマ政権の今後の対北朝鮮政策に影響を与える可能性も出てきた。
カーニー報道官は会見で、7日に国連安保理で採択された北朝鮮の3度目の核実験を受けた制裁決議について「国際社会への挑戦を続ければ、その代償も増すことを示したものだ」と評価した。その上で「北朝鮮は脅迫や挑発では何も達成できない」と述べ、新たな挑発行為に踏み切る構えを見せている北朝鮮をけん制した。
一方、米財務省は7日、国連安全保障理事会が北朝鮮の3度目の核実験に対して同日採択した追加制裁決議を受け、朝鮮鉱業開発貿易会社の幹部ら3個人を新たに資産凍結などの制裁対象にする追加制裁を発動した。追加制裁の対象は、いずれも中国を拠点にしている同社の幹部2人と端川商業銀行の幹部。米国内の資産が凍結され、米企業・個人との取引が禁止される。
また、オバマ政権のデービース北朝鮮担当特別代表は7日開かれた米上院外交委員会の公聴会で、「米国はソウルと東京に対し、米国の核の傘、通常兵力、ミサイル防衛による抑止力を提供すると最高レベルのルートで伝えている」と証言。オバマ大統領が日韓両首脳に対し、米国の抑止力の確実な提供を約束したことを示唆した。
デービース氏は同時に、オバマ政権の今後の北朝鮮政策についても説明。(1)北朝鮮を核保有国として認めない(2)北朝鮮が対話に戻っただけで報酬を与えることはない(3)対話のための対話はしない−−などの原則を示した。その上で「北朝鮮の向こう見ずな挑発行為は明らかに対話再開の妨げになっている」と述べ、北朝鮮の挑発行為が続く状況下での対話が困難であることを認めた。