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”局アナ”から始まる「終身雇用崩壊」

東洋経済オンライン 3月10日(日)6時0分配信

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”局アナ”から始まる「終身雇用崩壊」
”局アナ”から始まる「終身雇用崩壊」

若年層に押し付けられる「世代間のツケ」が深刻になる一方で、「若者の未来を奪ってきた」終身雇用も崩れつつある。そんな時代を、若者はどう生き抜くべきか?  『若者を殺すのは誰か? 』の著者である、人事コンサルタントの城繁幸氏に聞いた
■ 雇用規制はすべて緩和するといい

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 ──若者の存在感が薄くなってきていませんか。

 政策を決める側の視点に若者が入っておらず、また政策に対する若者の反応も鈍いので、そちらになかなか目が向けられない。一方で若者自身も前に出て自己主張することが少なく、どうしても存在感が薄い印象になる。

 ──働く場で軽んじられているからでしょうか。

 今、日本の政治システムも社会システムもカオスの状態で、これから新たな方向性がはっきりしてくるという気はする。

 ──ご自身は、ひたすら自由競争を求める立場ですね。

 ええ。たとえば雇用規制はすべて緩和するといい。正規、非正規のくくりをなくして、全員有期雇用契約にするのが理想だ。そのうえで、これからますます高齢化が進むので、基本的に消費税のような、全国民で負担する仕組みにしていく。そして、地方、地域はそれぞれ分立していくことだ。

 ──地方分権を推進する? 

 「維新」が注目されているのは、その方向しかないと、よくも悪くも気づいている人が増えている表れだ。特に地方の人が気づいている。日本にはおカネがない。中央から地方に回ってくる分も期待できない。地方の人は自分たちでおカネを作らなければならないという強い思いを持っている。

 ──政治システムとしては道州制が活路ですか。

 道州制がいい。日本を五つか六つに分けて、外交と軍事以外の行政は全部任せる。税率も自由に設定したうえで、各道州の内部で「選択と集中」をする。具体的にはたとえば過疎地域からの人口集約を進める。全国に10の東京を作るのは無理としても、10の名古屋や福岡を作る。そうすれば、日本はまだ経済成長する余地はある。

 実際に今、地方の裾野で人口集約が進んでいる。人口が数百人規模の山奥にある集落から引き揚げて、ふもとの町に人が集まるようになってきた。ただ、どう集約するか、大きな方向性がない。あるのは日本全体の東京一極集中だけだ。たとえば中国、四国地方には、核となる所がない。道州によって核を作れれば、地域としての方向性がはっきりする。

 ――仕事がなければ、その移動も難しいのでは。

 そこで重要なのは、労働規制をどうするか、だ。これは多くの政党が政治課題と認識している。自民党は解雇規制の緩和をうたう。終身雇用を終わらせる後押しをしないとダメだからだ。この6年ぐらいの間に、流れとしても変わってきている。

 終身雇用を成り立たせているキーポイントは、生産性以下の賃金で満足してくれている優秀な社員がいることだった。社員の賃金カーブは結局平均値での集計。平均以上に稼いでいる人が平均値近くの賃金でも頑張っているから、その賃金水準以下の力の人を終身で雇用できた。

■ 公務員の賃金はどんどん下げていい

 今やその優秀層が転職し始め、我慢しなくなってきている。わかりやすい例がアナウンサーだ。そんな安月給ではやっていられないと、各局のエース級があっさり辞める。フリーになって収入が3倍に増えたという例もある。組織としては稼ぎ頭に辞められては困るので、賃金体系を変えねばならない。導入に緩急の差はあるが、それが産業界でも起きている。賃金制度自体を抜本的に見直さざるをえないのだ。結果として、終身雇用は今のままでは続かない。

 ──公務員についても持論をお持ちですね。

 公務員の賃金は人がいなくなるまで下げるというスタンスで、どんどん下げていい。その際、辞める人が多くて仕事が回らなくなったら、それが賃金としては適正な水準だ。そこで賃金引き下げをストップする。

 国立大学の先生は給与が下がった、研究費がなくなったととかくこぼす。だったら辞めたらいい。私学や海外の大学に本人の実力次第で売り込む。そうならないならまだ賃金を下げる余地があるということだ。

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最終更新:3月10日(日)10時15分

東洋経済オンライン

 

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