名古屋グランパスは10日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで控え組が関西リーグの奈良クラブと練習試合を行った。0−1で敗れた9日の浦和戦でベンチスタートだったFW玉田圭司(32)は予定を越えて後半途中まで志願出場。「周りに何かを感じてほしかった」とアグレッシブなプレーでチームに魂を注入した。試合は2−1でグランパスが勝った。
スコア以上に力の差を見せつけられた浦和戦から一夜明け、玉田が身をもって危機感を示した。当初は前半だけの出場予定だったが、「もうちょっとやらせて」とストイコビッチ監督へ直訴。後半20分近くまでピッチに立ち続けた。
「いろんな選手と連係を深めたかった。このフォーメーション(4−2−3−1)でどうボールを受けたらチャンスになるのか試したかった」
心中にはモヤモヤがたまっていた。浦和戦には後半途中から出場したものの、守勢一方でほとんど何もできなかった。「みんなビビってたよね。迷いながらプレーしていた。ボールを持っても何をやればいいのかわかっていない感じ」と玉田は苦々しく振り返る。
迷いがあるのなら、自分が率先して範を示す。練習試合ではトップ下に入り、ときには守備ライン近くまで下がって積極的にパスをさばいた。20歳前後の若手がメンバーを占める中、32歳が最も精力的に動き回った。
「きょうは意識的にボールを受けた。周りに何かを感じてほしかった」。志願の後半出場には、玉田からチームメートへの無言のメッセージが込められていた。
開幕して2試合を終えただけとはいえ、「最初から浦和戦のような内容だときつい」と玉田は語る。ベテランの熱いゲキが、チームを奮い立たせる。 (木村尚公)
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