共通番号制度:自民が関連4法案を了承 15年に番号交付
毎日新聞 2013年02月21日 21時17分(最終更新 02月21日 21時49分)
自民党は21日、全国民に番号を割り振って納税や社会保障の情報を一元管理する「共通番号(マイナンバー)」制度に関する部会を開き、制度を導入するための関連4法案を了承した。法案は公明党や民主党との協議を経て、政府が3月1日に閣議決定し、国会に提出する方針。15年6月の番号交付、16年1月の利用開始を目指す。【久田宏、永井大介】
共通番号制度は、各省庁や自治体がそれぞれ管理している年金や医療費、介護保険、納税などの情報をまとめて管理するしくみ。政府は、情報の一元管理で事務が効率化できるうえ、一人の国民が受けている社会保障サービスが横断的に分かるため、同じようなサービスの二重給付や不正受給を防げるとしている。また、国と自治体が別々に把握している住民の情報を突き合わせて所得や資産をより正確に把握し、脱税を防ぐ効果も期待できる。
国民にとっても、納めた保険料や税金、受けている社会保障などの情報をインターネットで一目で把握したり、確定申告などの手続きを簡単に行える利点があるとしている。
同法案をめぐっては、個人情報が漏れて所得などのプライバシーが丸裸になる恐れがあるとして、弁護士団体などが情報の一元管理に強く反対している。法案は情報漏えいに対する罰則や、情報管理を監視する第三者機関の設置などを盛り込んだ。将来的に民間企業も共通番号を利用できることを視野に入れているが、21日の自民党部会は、民間が利用する条件を厳格にするよう法案を修正した。
導入の費用も課題だ。政府の10年時点の試算によると、希望に応じて交付される個人番号カードなども含めて5000億円を超える可能性がある。みずほ情報総研の近藤佳大シニアマネジャーは「システム整備のための莫大(ばくだい)な費用は、国民全体のインフラにつながる先行投資であることが国民に理解されるかが課題」と指摘する。