PM2.5:中国から越境汚染の可能性高い…国立環境研
毎日新聞 2013年02月21日 20時47分(最終更新 02月22日 00時21分)
全国で高い濃度の大気汚染源の微小粒子状物質「PM2.5」が検出されている問題で、国立環境研究所は21日、中国から越境汚染していた可能性が高いとの結論にいたった、と発表した。特に広範囲で濃度が高まった1月31日には全国の観測点の3割で環境省の基準値(1日平均1立方メートル当たり35マイクログラム)を超えた。国環研は「気圧配置や黄砂の影響で5月ごろまで高濃度が続く可能性がある」としている。
国環研は1月5〜31日の全国の濃度平均値のほか、中国を含むアジア各国のPM2.5発生に関わる燃料の消費量や人口、気象データなどを分析した。
濃度分布では、九州は1立方メートル当たり約22マイクログラムだったが、近畿は同16マイクログラム、関東は同13マイクログラム、北海道は同10マイクログラムと西高東低の分布を示した。各国の燃料消費量や気象などのデータを盛り込んで、大気の動きを再現すると、中国に地理的に近い国内地点ほど濃度が高くなるなど、観測値とよく一致した。検出された汚染物質の成分は分析の途上だが、こうした特徴から、越境汚染が起きている可能性が高いと結論づけた。
一方、観測データが入手できた24道府県の169地点のうち、今年1月1日〜2月5日に基準値を超えたのは山形から鹿児島まで17府県。1月31日ではデータが有効な155地点中48地点だった。大原利真・国環研地域環境研究センター長は「都市部では局所的に高くなる傾向がある。すべてが中国由来ではなく、国内対策も重要」と話す。【比嘉洋】