貿易赤字:過去最大を記録 円安で燃料費など膨らむ

毎日新聞 2013年02月20日 21時14分(最終更新 02月21日 01時41分)

 財務省が20日発表した1月の貿易統計(速報、通関ベース)で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が1兆6294億円の赤字となり、赤字幅は単月として過去最大を記録した。昨秋以降の円安で燃料などの輸入価格が上昇したことが響いた。最近の円安は輸出の追い風となるが、円建ての輸入額を押し上げる効果もあり、「貿易収支の黒字転換は当面、見通せない」との見方が強まっている。【工藤昭久、岡田悟、赤間清広】

 1月は、世界経済の回復基調などを受け、輸出が8カ月ぶりに増加したが、それを上回る勢いで輸入が増えた。その原因が円安だ。外国為替市場では昨年11月の衆院解散後、急速に円安が進み、1月の貿易統計に反映された円相場は1ドル=86.93円と、前年同月に比べて円相場は12.4%も下落。円が安くなると、ドルなど外貨建てで輸入しているモノの円建て価格が上昇し、輸入額を押し上げる。

 例えば、原発停止の影響で輸入量、輸入額とも単月として過去最大を更新した火力発電所など向けの液化天然ガス(LNG)。輸入量の伸びが前年同月比1.0%増にとどまったのに対し、円安の影響で輸入額は11.4%増に急伸した。石油製品の輸入額も33.7%増と急増し、輸入総額は7.3%増の6兆4286億円に膨らんだ。

 米国や中国など世界経済の緩やかな回復を受けて、輸出も6.4%増の4兆7992億円と改善。欧州連合(EU)向けは、船舶や自動車が伸び悩んで4.5%減の5081億円と16カ月連続で減ったが、米国や新興国向けは復調が期待できる。

 このため「米国やアジアの景気回復を背景に輸出の増加傾向は続き、貿易赤字は縮小していく」(大和総研の橋本政彦エコノミスト)との見方もあるが、輸入した原材料を加工して最終製品や部品を輸出する日本では、企業の生産が増えれば原材料の輸入も増えるため、貿易収支が改善するとは限らない。米化学大手ダウ・ケミカルと住友化学の合弁会社・ダウ化工は20日、家庭やオフィス向けの断熱材を3月21日出荷分から20%値上げすると発表した。「円安進行で、原料となる石油製品の輸入価格が上昇している」(広報)ためで、円安で海外とモノやサービスをやり取りする際の条件が悪化すれば、家庭や企業の負担増につながる。

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