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地域の放射線量測定、住民も力 飯舘の農家有志が会社設立
 | 田んぼの土壌サンプルを採る菅野さん(右)=3日、福島県飯舘村飯樋 |
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原発事故で全村避難が続く福島県飯舘村の農家有志が設立した合同会社が、村から放射線量測定などを委託されたNPOと連携し、住民参加の活動を始めた。20の行政区とのパイプ役になり、住民自らが調べるデータを、2014年度に本格化する国の除染や帰村の計画作りなどに生かしたい考えだ。 会社は「いいたて協働社」。同村佐須の菅野宗夫さん(62)=村農業委員会会長=ら農家仲間4人が昨年末に設立し、菅野さんの避難先の伊達市に事務所を置く。 2年前から村内で除染実験などに取り組む、研究者らのNPO法人「ふくしま再生の会」(田尾陽一理事長)が村から放射線量の継続測定などを委託された。その活動を地元につなぐのが協働社の役目だ。 菅野さんらは村内20行政区の区長の賛同をまとめ、1月に地域での活動を始めた。実際に活動を担うのは、帰還困難区域の長泥を含め、区長が推薦した各区2人の計測委員たち。毎月上旬と下旬の2回、それぞれの設定ルートを車で走る。 運転席の右窓にGPS付き測定器を張り付け、走行時速30キロで回る−という共通のルールで空間線量を測り、得られたデータを専用のサーバーに蓄積していく方法だ。 そのシステム開発とデータベース作り、測定の技術指導と研修を再生の会が担当し、必要な経費を村が支援している。 村と全区長がデータを共有し端末から見られる態勢が整った。菅野さんらはさらに、原発事故直後から国、県、村、行政区やNPOが蓄えたデータを一元管理する「モニタリングセンター」の設置を村に働き掛けている。 菅野さんは「家の周りや土、植物、農作物、動物、水などのデータも住民一人一人が確認でき、除染効果も検証できるようにしたい。専門家と協働し、自らが参画し、再生の課題や可能性を知ることで初めて希望も見いだせる」と話している。
2013年03月10日日曜日
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