PM2.5:高濃度で外出自粛…環境省、指針作成へ
毎日新聞 2013年02月18日 21時02分(最終更新 02月19日 11時44分)
中国からの飛来が懸念される大気汚染源の微小粒子状物質「PM2.5」について、環境省は18日、大気中濃度の測定局を整備する自治体に、新たな財政支援を検討することを明らかにした。また、一定濃度を上回った場合に住民に外出などを自粛するよう注意喚起する暫定指針を今月中に策定する。3〜4月には、PM2.5が黄砂に付着して運ばれる恐れがあり、全国的な観測網を強化する。【比嘉洋】
◇黄砂に付着、飛来増加も
環境省は、09年にPM2.5の環境基準を策定し、10〜12年度の3カ年で一定の人口や面積ごとに測定局を全国で1300カ所配備する計画を立てた。しかし、現状は約600局にとどまっている。設置は自治体に委ねられており、費用は自由に使い道を定められる地方交付金によって賄われているため、財政難に苦しむ自治体が測定局の整備を後回しにしてきた。同省によると、観測機器を1台設置するのに約500万円かかるという。
環境省はこの日、PM2.5への対応について自治体と情報共有するため各都道府県や政令市など約130自治体が参加する連絡会を初めて開催。測定局の整備について「費用は既に地方交付金で手当てされているので、予算化に努めてほしい」と強調したうえで、整備を急ぐため財政支援措置を検討する考えを示した。
また同日、暫定指針策定に向けた専門家会合も開かれた。PM2・5の環境基準は、人の健康保護を目安として定められているが、超えた場合の対応策はない。暫定指針は、各自治体が自主的に外出自粛などの注意喚起を呼びかけるための判断基準となる。ただし、光化学スモッグのように法律に基づいて外出自粛を求める注意報とは異なる。
会合では判断基準について、速やかに対応できるよう1時間ごとの測定値を使うべきだとの意見が大勢を占めた。さらに、心臓や肺に疾患があり、大気汚染の影響を受けやすい人に配慮するなどの案も出た。
すでに、自治体からは「行政が注意喚起すると、運動会中止のように過敏に受け取られることが多い。科学的知見に基づいて作ってほしい」(北九州市)などの要望が寄せられている。