ロシア隕石落下:露当局が捜索中止、科学的全容解明に影響
毎日新聞 2013年02月17日 21時04分(最終更新 02月17日 21時29分)
【モスクワ真野森作】ロシア・ウラル地方の隕石(いんせき)爆発で、大きな破片が落下したとみられるチェリャビンスク州のムロク副知事は16日、隕石の捜索を中止したことを明らかにした。今後は専門家による調査が中心となる。捜索中止は被災者支援を重視し、「隕石騒動」を鎮静化する狙いもあるとみられるが、科学的な全容解明に影響が出るおそれもある。
露メディアなどによると、隕石の大きな破片は、凍結した水面に直径約8メートルの穴が開いた州北部のチェバルクリ湖周辺の2カ所と、その西方ズラトウストの1カ所に落下したとみられ、地元当局が捜索していた。
チェバルクリ湖ではダイバーによる捜索が落下翌日の16日に行われたが、1日限りで当局が中止した。地元テレビ局によると、湖底には約1.5メートルの泥の層があり、捜索の妨げになったという。ただ、湖の水深は平均2.5メートルと浅く、最深部で12メートルとされ、穴が開いた周辺の水深も5メートル程度で、徹底的に捜索されたのか疑問が残る。
地元メディアによると、ムロク副知事は「湖底からは何も発見されなかった」と早々と捜索打ち切りを表明。ただ、氷上で発見された複数の1センチ程度の「黒い破片」については、隕石かどうか鑑定しているという。
1908年の東シベリアでの天体現象「ツングースカ大爆発」では、隕石落下の可能性が強いとみて、繰り返し隕石捜索など学術調査が行われたが、結局、破片などは見つからなかった。