小惑星:無事通過 衛星より内側、地球に最接近
毎日新聞 2013年02月16日 11時05分(最終更新 02月16日 11時54分)
地球に近づいていた小惑星「2012DA14」(直径45メートル、推定重量13万トン)が日本時間16日午前4時25分ごろ、地球に最接近し、地表から地球2個分ほどの距離を通過した。同規模の天体としては、数十年間で最も地球に近づいた。米航空宇宙局(NASA)は「小惑星は衛星などに影響を与えることなく、安全に通過した」との見解を発表した。
NASAによると、小惑星は南から北に秒速7.8キロで移動し、インド洋上空で最接近した。高度は約2万7700キロで、約3万6000キロを動く気象衛星「ひまわり」などの静止衛星より内側になる。高度400キロ付近では国際宇宙ステーション(ISS)などが周回しているが、いずれも運用に支障は出ていない。
明るさは、肉眼で見えない7等星程度だが、日本各地でも望遠鏡を使って、姿がとらえられた。美星(びせい)天文台(岡山県)の技師、前野将太さん(31)は「この規模の小惑星が接近する機会はなかなかない」と語った。銀河の森天文台(北海道)の主任の筧(かけい)伸浩さん(40)は「同様の天体が近づいたときの軌道予測の検証に役立つ」と観測の意義を解説した。
この小惑星が再び地球の近くを通過するのは2046年。距離は、今回の36倍遠い100万キロという。【鳥井真平】