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【大相撲】

宝香鵬が飛躍誓う

2013年3月5日 紙面から

砂だらけになって稽古をした宝香鵬=宮城野部屋で(岸本隆撮影)

写真

 憧れの横綱白鵬翔から2文字をもらった。幕下の23歳、宝香鵬翔風(ほうかほう・しょうふう)=宮城野=は「目標は一つしかありません」と十両昇進を目指す。豪栄道や妙義龍らを輩出している強豪・埼玉栄高の相撲部に1年間だけ在籍し、「学費で親に苦労をかけたくなかった」と、ほとんど相撲経験のないまま2年で中退して入門。体の柔らかさも白鵬に似ている。「横綱のような相撲を取りたい」と意気込む。

 入門のきっかけは埼玉栄高2年だった2006年夏場所。父・史朗さん(60)と国技館で観戦した帰りに、「せっかくだから近くの相撲部屋を見に行こう」と宮城野部屋へ。そこで、部屋にベンツで戻ってきた白鵬と初めて対面した。

 「ちょっと離れたところにいたんですけど、横綱が戻ってきたので走って追いかけました。写真を撮ってもらったら手招きされて握手してもらいました」

 白鵬から「相撲部屋に入るの?」と聞かれ、夏休みに遊びに行く約束をして別れた。「相撲界に入ろうと思ってましたから。あまりにも横綱が輝いていて、スキップしながら帰りました」。今でも大切な思い出だ。

 高校を中退し、宮城野部屋から春場所で初土俵を踏んだ。最初のしこ名は両親がつけてくれた宝香山だった。「序二段と三段目を上がったり下がったりしていて、横綱の付け人も外れて目標を見失いかけていた」。そのとき思ったのが「初心」。白鵬に憧れて入門したときの思いだった。

 「横綱の強さにあやかろうと思いました」。10年名古屋場所から宝香山の山を鵬に変え、下の名前も本名の宏作から翔風にした。続けると宝香鵬翔風。白鵬翔から2文字をもらった。

 「改名するときに横綱に聞きました。いいんじゃないかって言ってもらいました」

 それから1年半後に幕下へ昇進。今年初場所は東幕下30枚目で6勝1敗と勝ち越し、春場所は自己最高位を更新する西幕下11枚目だ。

 入門時は105キロだった体が今は140キロ。本人は「たたき上げです」と自認する。埼玉栄高校の相撲部に在籍していたが期間はわずか1年。相撲を始めたのは高校からで、しかも中退しているからだ。理由は「親に苦労をかけたくなかった」から。3人の姉のうち2人が大学生だった。「仕事から帰った父が倒れるのを見たこともある」。いずれは入門しようと決意していた宝香鵬は、親孝行を胸に縁あった宮城野部屋の門をたたいた。

 部屋には同じ年だが弟弟子の大喜鵬が十両で活躍している。「刺激になります。一緒に部屋を盛り上げていきたい」。今年の目標を聞くと、「一つしかありません」。遠くない未来に夢はかなうだろう。 (岸本隆)

 

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