グランパスは90分間、目覚めることがないまま終わった。浦和の流動的な攻撃に対応できないまま、一方的に攻められた。
アウェーで守備的に戦うことは理解できる。ただし、守備の基本がおろそかになっては安定しない。ボールを持った選手に対してプレッシャーをかけていないから、自由にプレーされてしまう。その象徴的な場面が失点シーンだった
鈴木の縦パスを、前線の興梠が引いて受けた時に、簡単にマークを外してしまった。興梠は振り向いて、イメージ通りに決定的なパスを出した。相手FWが足元でパスを受けた時、ボランチがいくのか、DFがつぶすのか明確にならないまま、浦和のリズムを断ち切ることができなかった。
いくら高度な戦術を用いたとしても、ボールのある局面で体を張ったり、厳しくいかないと、全く意味はない。スコアは0−1だが、内容はサンドバッグ状態。その差は、極めてシンプルなサッカーの原点だったと思う。 (元日本代表、グランパスMF・望月重良)
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