名古屋グランパスは攻撃の形をつくれず、昨季3位の浦和に0−1で完敗。浦和は開幕2連勝と好発進した。FC東京は柏に3−0、横浜Mは清水に5−0でともに大勝。甲府を下したC大阪を含めた4チームが2連勝となった。開幕戦黒星の昨季王者の広島は新潟に辛勝し、初白星を挙げた。
敵地を真っ赤に染めた5万人以上の大観衆にのみ込まれるように、グランパスはペナルティーエリアにくぎ付けにされた。6対16というシュート数以上にボールを回され、戦術のあるチームとないチームとの決定的な差を思い知らされた。これで対浦和は2010年8月を最後に1分け4敗で、特に埼玉スタジアムでは4連敗。
左ふくらはぎ肉離れの闘莉王1人を欠いただけで、こんなにもチームは崩壊してしまうのか。ストイコビッチ監督はキャンプから取り組んできた3−4−3をわずか1試合で放棄し、昨年までの4−5−1に回帰。ボールを保持されることを想定して玉田、田口というテクニシャン2人をベンチに置き、時には最終ラインが6人になるほど守りを固めた。しかしこれにより攻撃の形は皆無に。苦し紛れに前線の矢野に放り込んでもボールは収まらず、かといってフォローもない。「勝つためには前線の創造力が足りなかった」と指揮官は嘆いたが、結果は必然だった。
「プラン通りにいっても0−0だからね。どうやったら形になるとか、つかんだものもない。せめて守りだけでもと思っていたのに」。そう嘆いた楢崎の言葉通り、勝ち点1を狙った弱者のサッカーに徹して、負けた。阿部は「停滞してますね。どちらにしろ、次がすごく大事。引き分けて、負けて…何かを残さないと」と語った。残り32節、弱さを認め、早急にチームとしての形を構築しなければ、J1残留が現実的な目標となってしまう。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する