武雄市のFacebookや図書館の指定管理者(TSUTAYA)の取り組み

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気になる首長シリーズという感じで、前回の広島県の湯崎知事の県政改革に続きまして、
佐賀県武雄市の樋渡市長のお話を聞く事が出来ました。

武雄市は、樋渡市長になってから、いのしし課を作ったり、営業部を作ったりと話題に事足りないぐらい、
積極的な市政運営で、全国的にも有名な方なのですが、
今回は、「Facebookの活用」と「図書館のTSUTAYAへの指定管理」についてお話を伺いました。

Facebookに関しては、市長自身が積極的に利用されて、行政での利用に親和性が高いと判断した事から始まりました。
下記のような点が、行政サービスに合っているとの事です。

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■即時性
 書き込んだ事がすぐ閲覧できる事で、オンタイムでの市民サービス提供が可能となります。
 実際には、市開催のイベントの移動手段に問題がることを市民の方が指摘した場合に次の日から改善できるといった事がありました。
 これまでは、イベントが終わってからの反省で、来年に繋げるということが通常でしたが、次の日から改善が出来るということが出来たのです。

■双方向性
 行政のサービスは市民への一方通行が多かったのですが、市民からの意見を市政に反映しやすくなりました。
 例えば、英語講師の採用ページを作ったのに際し、英語ではなく日本語だけの表示だったことを見た市民の方が、
 なぜ英語にしないのかと投稿したところ、職員がそのことに気付き、英語サイトを開設したとのことです。
 
■公開性
 市役所と市民が誰でも閲覧する事の出来る場所にて意見の交換を行う事で、それぞれが責任を持った言動を取ります。
 上記の英語講師の際でも、合理的な市民の意見は無視できませんし、公にやると言ったからには、やり通さなくてはいけません。
 良い意味での監視の状態が、双方にて出来上がっているということです。 

■実名性
 Facebookは、実名での登録が基本となりますので、書いた事などに対しての責任感が高くなります。
 これで、よくあるネットの炎上というものがなくなります。市民も職員も個人の名前を出して対応しますので、
 傍若無人に振る舞う事が出来ませんから、合理的な意見の交換となります。
 実際に、武雄市へのアカウントに対する誹謗中傷などによる炎上は、無いとのことでした。

そもそもFacebook自体が、SNS(ソーシャルネットワーク)であることから、職員間でのネットワークの活性化や、
市役所と市民とのネットワークの形成に役立っておりますし、新しいものを取り入れているということ自体が組織の活性化を促しているのだとも感じました。

そして、Facebook活用の次なる進化系は、通販との事です。それぞれの自治体の特産などを販売するプラットフォーム作りです。
敵は、Amazon、楽天らしいです。若干、民業圧迫な感じもしないではないですが、どこまで行くか楽しみです。

次に、図書館について。

こちらの改革のスタートは、誰もが普通に思う事、「図書館って、早くしまり過ぎじゃない?使いづらくない?」です。

武雄市の図書館は、当初、年間95日の休館で、年間の4分の1がお休みでした。
当然、夕方にはしまりますから、市民が使いたいと思っても、使えない。

また、本の並べ方も「日本十進法」という並べ方で、哲学/宗教、歴史/地理、社会科学、自然科学となっており、
使う側の身になった並べ方になっていない(日本の図書館の90%以上がこうなっているらしいですが)。

こんな誰も使わない、使えない、使いたくない図書館ではなく、市民に開かれた図書館にしたいと、市長は考えます。

開館日を少しずつ多くしていき、市民への利用向上を図っていきますが、これにも限界がありました。
最終的には、事務方の大反発で、納得いくまでの改革には至りません。

そんな時、テレビを見ていると、TSUTAYAの増田さんが、代官山のTSUTAYAを語っているのを見て、衝撃を受けます。
素晴らしい。餅は餅屋に頼むべき。これまで公務員の人に図書館の運営を民間並みに任せようと思っていた事自体が間違いだと。

そして、必死で口説きにいき、館内の内装工事で、市が4.5億円、TSUTAYAが3億円ということで、
増田さんを口説き、いざっ、となったのですが、新たなる問題。

指定管理者制度は、公募が大前提です。公的なサービスを民間に預ける訳ですから、随意契約では出来ません。
しかし、TSUTAYAは、こちらから口説いた訳ですから随意です。

議会側の反対も、武雄市にTSUTAYAが来る事の意味やメリット、そこから生まれる相乗効果を訴えて、
このプロジェクトが前に進んでいきます。やはり、ここも、情熱なんですよね。

市長は、この図書館を年間25万人の利用者から、4倍の100万人利用へと繋げて、
北海道の旭山動物園、石川の21世紀美術館、そして、佐賀の武雄図書館と日本三大行政施設にしたいとのことでした。

蔵書も、壁一面に並べて、並べ方も十進法ではなく、市民の皆さんの生活ストーリーに合った並べ方にすることで、
使いやすくて、選びやすい本棚の構成とし、この図書館を色々な気付きの場にしていきたいとのことです。

また、TSUTAYAが発行している、Tポイントカードを市民の皆さんの情報データベースを管理できるものとして利用し、
例えば、住民票を取る際は、Tポイントカードが使えるような仕組みで考えているとの事でした。

こういったことも、行政が仕組みを作ろうとすれば、莫大なコストが掛かりますが、切磋琢磨している民間のインフラを上手く使っていけば、大きく行政コストを抑える事が出来ます。
行政の方は、費用対効果より、万に一のミス回避に拘りますので、こういった協業が上手く実を結ばないのですが…。ここは政治家としての市長の判断ですね。

今回、痛切に感じたのは、やっぱり人を動かす人って、熱を伝播出来る人ということです。
そのためには、当人が一番熱くないといけない。
とにかく、楽しく、熱い政治家さんでした。ワクワク感が伝わってきます。一緒に居るだけで、面白さを共有出来ます。

この政治行政の世界は、こんなワクワク出来る人が少ないのが現状です。
でも、こんな首長が沢山生まれたら、日本は、もっと面白くなりますよね!

いいーーーー刺激を頂きました。三戸も頑張ります!!

ちなみに、初対面5秒で、これです。そう、市長、お茶目なんです。

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