第1原発事故:福島県が放射線データ消去 緊急測定半年後
毎日新聞 2013年03月09日 02時30分
一方、メーカーは取材に「データは機器内の電子メモリーに蓄積され(ケーブルで)接続したパソコンに専用ソフトを使って取り出せる」と、県とは食い違う見解を示している。
原子力規制委員会は「そもそもモニタリングデータを記録しないこと自体が想定されていない」(監視情報課)としている。【栗田慎一、神保圭作】
吉井博明・東京経済大教授(災害情報学)の話 おそまつとしか言えない。当時の状況を考えれば仕方がないようにも思えるが、原発周辺の住民がどれだけ被ばくしたのかを調べるのも仕事の一つだ。福島県は災害記録の重要性の認識が欠けている。同じ事が起こるかもしれない他の原発立地自治体が、緻密なモニタリング計画を準備するためにも経緯の検証が必要だ。
◇緊急時モニタリング
原子力安全委員会が84年に策定した「緊急時環境放射線モニタリング指針」は、原子力施設で放射性物質の異常な放出やその恐れがある場合、周辺住民の被ばく線量や被ばく経路などを調べるよう地方公共団体に測定や観測データの分析を求めている。同委は昨年9月に原子力規制委員会に改組、指針も継続されている。