第1原発事故:福島県が放射線データ消去 緊急測定半年後

毎日新聞 2013年03月09日 02時30分

県が線量データを消去した大熊中学校の位置
県が線量データを消去した大熊中学校の位置

 東京電力福島第1原発事故を受けて11年3月12日午前5時ごろから、福島県が約5キロ離れた避難所に可搬型測定器を設置して緊急時放射線モニタリングを行いながら、測定器を回収した同9月にデータを消去していたことが分かった。県は「データを上書きし記録も残っていない」と釈明、国への報告も怠った。原発10キロ圏では同時刻ごろから線量の上昇が確認されているが、消去により国の指針が定める住民の被ばく評価もできなくなった。

 県の放射線測定を巡っては、固定型モニタリングポストのデータ解析を終えるのが昨年9月と遅れ、政府・国会の原発事故調査委員会の最終報告書に反映されなかったことが既に分かっている。新たにデータ消去が判明し、原子力規制委員会専門家会合が検討中の緊急時モニタリングの改善策にも影響を与えそうだ。

 県や東電への取材によると、県は11年3月12日午前3時ごろ、内閣府の原子力安全委員会(現・原子力規制委員会)の指針を盛り込んだ県の地域防災計画に基づき、大熊町内の原子力災害対策センター(オフサイトセンター)で東電に緊急時モニタリングへの同行を指示。観測地は「人が集まっている場所」とした。少なくとも3人の県職員らが防護服を着て、県保有の可搬型測定器や集じん器などを東電の小型バスに積んで出発。同5時ごろ、原発の西約5キロの大熊中学校に着き、約100人が避難する体育館わきに機器を設置した。

 可搬型器はタンク内の燃料で自家発電して作動し、線量を表示する仕組み。通信回線の途絶で固定型モニタリングポストと同様、観測データを送信できなかったが、タンク内の燃料は半日分あり、1号機原子炉建屋が水素爆発した12日午後まで作動していた。

 文部科学省が昨年7月にまとめた同原発事故の緊急時モニタリングの報告書は、中学校からの住民避難が終わった直後の「午前8時9分に県が大熊町内で」別の測定器により観測したのが最初と記載しているが、実際には少なくとも約3時間前から行われていたことになる。

 県災害対策本部は「他の業務に忙殺され回収が遅れた上、メーカーには『データを取り出せない』と言われ、県内各地での観測に使うためデータを上書きした。線量は平時と同じだったと聞いているが、国には報告していない。大変申し訳ない」と謝罪している。

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