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【社会】

人形劇専門校閉校へ 東かがわ 国内唯一、資金難で

 国内唯一の人形劇専門学校「パペットアーク」(香川県東かがわ市)が三月末に閉校する。校舎としていた劇場などの指定管理者となっている一般財団法人「とらまる人形劇研究所」への委託料について、市が来年度からの削減を決定。資金面で学校の運営が難しくなるのが理由という。

 研究所は二〇〇三年、旧大内町が造った劇場などの指定管理者になったのに併せ、専門学校を開校した。二年間で人形操作や舞台造形、脚本作りなどを学習。これまでに全国から集まった学生二十三人が卒業し、各地のプロ劇団などで活躍する。

 今年二月の最終公演では、在校生と卒業生計九人が芥川龍之介の「羅生門」などを題材に共同制作した劇を披露。人が死に向き合う姿を躍動的な人形の動きで表現した内容に、二日間で地元住民ら約三百六十人が訪れ、大きな拍手を送った。

 松山市出身で女子学生の前島千尋さん(26)は今春の卒業後にプロ劇団に入る予定で「経験や知識がなくても一から人形劇を学べる貴重な場がなくなるのは残念」と母校の閉校を惜しんだ。

 近隣二町と合併して東かがわ市となった旧大内町は、青年団が交流会に人形劇団を招待した一九八四年から、毎年劇団が公演するなど、人形劇文化が根付いた地域。

 東かがわ市は本年度に三千四百万円の委託料を支出したが、来年度は三千万円に削減。市教育委員会の担当者は「過疎化が進む中、市民の利用が少ない施設への財政負担は厳しい」と話す。

 研究所は今後、岡山県倉敷市へ移り、劇団活動を継続。劇場などは別の法人が引き継ぐ。

 

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