液状化被害、復興遠く=被災住宅修繕し切れないまま―茨城【震災2年】
時事通信 3月9日(土)10時37分配信
東日本大震災で液状化現象に見舞われた茨城県。埋め立て地が多い沿岸南部を中心に9300棟以上の住宅が傾いたり、半壊したりするなどの被害を受けた。震災から2年となる現在でも、不自由な生活を余儀なくされている被災者は多い。
波が打ったような状態の歩道に、むき出しの水道管。利根川下流に位置する潮来市日の出地区では今も液状化の爪痕が残る。「あり地獄に沈んでいく感じ。家が沈んだのか砂が上がって来たのか、分からなかった」。2005年に建てた主婦坪山恭子さん(41)の2階建て木造住宅は約70センチ沈下し、北東に13センチほど傾いた。「平衡感覚がおかしくなり、平らな場所にいても傾いているようだった」と当時を振り返る。小学3年と3歳の息子も頭痛を訴えるなどしたという。
12年7月、支援金を含め約500万円かけて傾きなどを直したが、道路より低くなった庭や駐車スペースまで直す余裕はなく、雨の日は水がたまる。「潮来は茨城県内で一番復旧が遅れている。ここだけ取り残されている気がする」とこぼした。
神栖市鰐川地区の主婦中根美恵子さん(54)も修繕費の関係で2階建ての自宅を地震から約1年後に水平に戻すのが精いっぱいだった。「今後全部直すか、引っ越すか、建て直すかで費用が全然違う。津波で自宅が流されてしまった東北のことを考えたら、何も言えないけど…」と言葉を選んだ。
液状化が激しかった千葉県浦安市では、被災住宅の建て替えなどに際し、国もしくは県の支援金とは別に100万円の補助があるが、潮来市からは数万円の義援金と減税措置があっただけ。神栖市の見舞金も最大10万円だった。
自宅が半壊状態となった神栖市掘割地区の会社員幸保晴之さん(53)は「壁にはひびが入り、きちんと閉まらない扉もあるが、直す余裕はない」と嘆く。臨海部の開発に伴って30年余り前に同地区に移転させられたといい、「特例措置があってもいい」と不満をのぞかせた。
自治体による被災地域の再液状化防止事業も進まないまま。神栖市では道路下に穴の開いた配水管を埋めて地下水を集約し、ポンプで地上に出す工法を軸に実施する予定だが、住民の同意も必要なため、着工は早くても14年1月以降になるという。
最終更新:3月9日(土)10時43分
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